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サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-D2-SPA.vs.TUR

EURO2016 EURO2016-GroupD

EURO2016-グループD2-スペインvsトルコ

まずはスタメンから

 

赤がスペイン、白がトルコ(Fig.1)

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Fig.1 スペインvsトルコ

 

スペインのスタメンはチェコ戦と同じ。

イニエスタの存在はスペインにとって大きなアドバンテージだが、前線、特にノリートがしっかりとチャンスをモノにできるかというのは一つの焦点。スペインはグループリーグ突破までには最低勝ち点1が必要。

 

トルコもスタメンはほぼ同じ。トップをトゥサン⇔ユルマズに変更したのみ。

トルコは時々かなりアグレッシブなハイプレスを行うことがあるが、それがスペイン相手に通じるのかどうかというのが大事な部分。この試合で引き分け以上にしないとトルコのグループリーグ突破は厳しい。

 

試合の概要

試合は3-0でスペインの勝利で終える。33分にモラタ、36分にノリート、47分にモラタが決める。スペインはボール保持攻撃から多くのチャンスを作っていき、特にフリーになる機会が多かったサイドバックの攻撃参加はいいアクセントになっていた。スペインは内容、結果共にとてもよかった。

 

1. トルコの守備

 

前述のようにトルコは最悪勝ち点1を持って帰れば及第点である。

 

したがって1戦目のチェコのように引きこもる選択肢もあるが、この試合のトルコはカウンターも考慮した守備を行っていた。

 

スペインのビルドアップに対してプレスをかける様子がなかったトルコ。したがってスペインは難なくハーフラインまでボールを進めることができる。

トルコの守備は4-5-1(Fig.2)

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Fig.2 トルコの撤退守備(4-5-1)

 

スペインのビルドアップに全く関与しないという意味ではチェコと同じだったが、ここからの守備に対する姿勢は似通っている点と異なっている部分があった。

 

似通っている部分

スペインで一番時間と空間を与えてはいけない選手は間違いなくイニエスタ

チェコの時はロシツキーがきつめにマークしていたように、

トルコのトゥファンはかなり厳しめにイニエスタをマークする。

 

もうひとつはブスケッツが潤滑油にならないようにすること

チェコの時はネツィドがデスコルガードとしてブスケッツの動きを制限したように、

トルコのユルマズはゲームメイクのルートを制限しようとする。

 

異なっている部分

スペインのサイドバック、J.アルバとファンフランの攻撃性能はトップクラス。1on1、最終ラインへの飛び出し、クロスの能力は本当に高いと思う。

チェコサイドハーフのセラシエとクレイチがほぼマンマークで対応することで、サイドからのチャンスをうまく制限していた。

一方でトルコのサイドハーフ、チャルハノールとA.トゥランはサイドバックのオーバーラップに対して対処しないことも多かった。

 

ただし、対処しない(サボリ)という見方もできるが、カウンターに備えているという見方もできる。チェコのように6バックになってしまえばサイドからの攻撃はある程度制限できるが、じゃあ低い位置からカウンターを行うための選手がトルコにそろっているか?というと疑問ではある。

 

それならデメリット(サイドバックを野放しにすること)を承知でメリット(高い位置からA.トゥランやチャルハノールがカウンターに参加できる)を生かそうという考え方が間違っているわけではないと思う。

 

チェコよりは攻撃的な考え方で勝ち点3を視野に入れたサッカーではあるが、メリットとデメリットの採算がはっきりしていないと大火傷することがある。

 

今回はその典型例で、スペインは前半サイドから多くのチャンスを作っていき、トルコにカウンターの機会をほとんど与えなかった。

 

2. スペインの攻撃


相手の守備システム(サイドハーフのサボリ)によるところも大きいが、スペインのポジショニングも素晴らしかった(Fig.3)

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Fig.3 イニエスタサイドからのボール保持攻撃

 

例えばイニエスタからゲームメイクがスタートするとき

 

本来セスクはエジャクップとマッチアップするような位置にいるが、イニエスタがボールを持った時にはセスクは前線にいることも多かった。

 

このような位置にセスクがいるとトルコのギュニョルのノリートへのマークは曖昧になってしまう。

 

結果的にノリートがフリーで受けることでアルバがオーバーラップする時間と空間を与えていた。

 

ノリートがフリーになった時に見逃さないイニエスタもさすがだが、スペイン全体がボール保持攻撃のイロハを完璧に共有しているのは純粋にすごい。

 

ボールを保持して攻撃する場合、ポジションにとらわれると攻撃が閉塞することがままある。

ポジションを放棄しすぎるとバランスが崩れてカウンターの危険性も増すが、計画されたポジション放棄はボール保持攻撃を強力にする。

 

スペインの前半のチャンス

6m00(7)

10m00(6-10-18-7)

11m00(CK21-3)

28m10(5-22)

31m10(6-21-16-22)

33m40(22-7)

36m20(10-22)

44m40(16-7-3)

 

スペインは前半に多くのチャンスを作り、モラタ、ノリートが前半の間に得点する。

 

 

3. チェコ戦でのプレーがよくなかったノリートについて

 

この試合では、アルバがアウトサイドレーンのエリアでの攻撃を担当できたので、ノリートは比較的インサイドでプレーすることができていた。

 

インサイドレーンでのプレーはバルセロナに所属していた経歴もあるためか、やっぱり裏抜けやボールスキルはあるほうだと思う。

(まわりがイニエスタ、D.シルバ、ピケなので下手にみえてしまうこともあるが)

 

ただしアウトサイドレーンでのプレーはやっぱりよくないシーンが目立った。

聞き足が右足ということもあってアウトサイドレーンから1on1でカットインすることは多いが、深い位置からクロスを上げるシーンは相変わらずないような気がする。

 

4. 後半戦の変更

 

前半チャルハノール側から多くのチャンスを作られたトルコ。

そんなこともあってハーフタイム中にチャルハノールをシャヒンに変更する。

このときのポジションは以下のようになる(Fig.4)

 

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後半戦の布陣

 

チャルハノールの代わりに入ったシャヒンはインサイドハーフへ、トゥファンが代わりに右サイドハーフに入る。

 

後半になってもトルコの守備システムに大きな変化はなく、トゥファンもアルバを見逃すシーンが何回かあった。

47分にアルバが裏抜けし、最終的にモラタが決めて3-0とする。

ちなみにこのシーンにおいて、アルバの裏抜けはオフサイドだった。

 

 

3点差になった時点で両者の試合に対する熱は少し薄れてしまった。

ピケはミドルシュートを撃ったり、カウンターで最前線までオーバーラップしたりと結構めちゃくちゃなプレーもしていたし、トルコのトゥファンやA.トゥランは後半15分過ぎにはすでに諦め気味だった。

 

 

スペインのチャンス

47m30(6-18-7)

49m10(6-7)

59m50(10-16-21)

60m10(6-21)

 

余談

チェコの守備的な姿勢を批判していたが、サイドバックを捕まえないとスペイン相手にはこうなるということがわかった。カウンターの設計はとても大事だが、守備とカウンターの両立をスペイン相手にこなせるチームは今大会あるのか?というのは注目ポイントかもしれない

 

グループDのチェコとトルコはグループリーグを突破できなかった。したがって第3戦のチェコvsトルコのレビューはなし。トルコが0-2で勝ったらしいが、まあ納得はできる。

トルコのハイプレスに引っかかるチームならトルコはけっこう強いはず、クロアチアとスペインと同組になってしまったことが悔やまれる。