サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-E2-BEL.vs.IRL

EURO2016-グループE2-ベルギーvsアイルランド

 

まずはスタメンから

赤がベルギー、白がアイルランド(Fig.1)

 

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Fig.1 ベルギーvsアイルランド

 

ベルギーは3選手を入れ替える。

RSBのシマンをムニエルに、CMFのナインゴランをデンベレに、フェライニカラスコに変更する。2列目の3人はポジションを流動的に変更するが、この並びになることが多かった。

 

アイルランドは2トップから1トップに変更した。

ウォルタースの代わりにワードがLSBにはいる。前節LSBを担当していたブラディーは1列前にいく。またこの試合ではヘンドリックがインサイドハーフだけではなくサイドハーフでもプレーする。

 

試合の概要

試合は3-0でベルギーの勝利で終える。47分にデブライネのドリブル突破からルカクのゴール、60分にムニエルのクロスからヴィツェルのゴール、69分にアザールの突破からルカクのゴールで勝利する。3点という結果に比例するほどベルギーが作ったチャンスは多くはなかったが、アイルランドは全ての局面で最悪だった。

 

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EURO2016-E2-ITA.vs.SWE

EURO2016-グループE2-イタリアvsスウェーデン

 

まずはスタメンから

青がイタリア黄がスウェーデン(Fig.1)

 

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Fig.1 イタリアvsスウェーデン

 

イタリアは1試合目と同じで3バック。変更点はLWBのダルミアンをフロレンツィに変えたのみ。

チームとしてかなり機能していたのでおそらく戦術に変更はあまりないだろう。ベルギー戦は守備からだったが、スウェーデン戦は攻撃重視になる可能性が高いのでフロレンツィに変更したのかな?と考えているが、真実は分からない。

 

スウェーデンアイルランド戦と比べて3人変えてきた。

怪我をしているルスティグ⇔ヨハンソン、中盤のレビキ⇔エクダール、トップのベリ⇔グイデッティと変更する。

ルスティグは怪我だが、レビキ、ベリはアイルランド戦のパフォーマンスがひどかったからだろう。

 

試合の概要

試合は1-0でイタリアの勝利で終える。87分にキエッリーニからのスローインをザザが落としエデルが決める。イタリアは失点をしないことを第一としていたため一見塩試合に見えたが、イタリアの守備に注目すれば決して退屈しない試合。

 

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EURO2016-E1-IRL.vs.SWE

EURO2016-グループE1-アイルランドvsスウェーデン

 

まずはスタメンから

緑がアイルランド黄がスウェーデン(Fig.1)

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Fig.1 アイルランドvsスウェーデン

 

アイルランドに有名どころの選手はあまりいない。

強いて言えば元マンチェスターユナイテッドに在籍していたオシェイエバートン所属のコールマンくらいだろう。選手のほとんどはイングランドプレミアリーグもしくはチャンピオンシップ(イングランドの2部リーグ)に所属している選手で構成されている。個人的には馴染み深い選手が多い。

 

スウェーデンイブラヒモビッチが圧倒的に有名だが、ほかの選手はあまり有名ではない。

冬移籍で不遇の時間をアーセナルで過ごしたシェルストレームはある意味有名かもしれないが、注目選手というとちょっと語弊がある。ちなみに2016-2017シーズンのブンデスリーガで話題になっているライプツィヒに所属しているフォルスベリもいる。ただしライプツィヒを見たこともフォルスベリのクラブでのプレーも見たことないので、あくまで在籍しているという情報だけ。

 

試合の概要

試合は1-1で引き分けで終える。アイルランドは決してレベルの高いオフェンスをしていたわけではないが、ヘンドリックのミドルシュートやブラディーの攻撃参加はアクセントになっていた。47分にコールマンのクロスからフーラハンがボレーシュートを決めて先制する。スウェーデンのビルドアップおよびゲームメイクのレベルは低かったが、単純な放り込みに苦戦していたアイルランドは70分にクラークがクロスをはじき損ねてオウンゴールしてしまう。アイルランドのほうが内容はよかったが、引き分けでも妥当な部分もあった。

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EURO2016-E1-BEL.vs.ITA

EURO2015-グループE1-ベルギーvsイタリア

まずはスタメンから

赤がベルギー、白がイタリア(Fig.1)

 

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Fig.1 ベルギーvsイタリア

 

ベルギーは所属クラブとそのチームでの活躍度からメディアにはかなり評価されている。

アザールルカク、デブライネトリオの攻撃力を想像すれば今大会の中でも一番攻撃力があるようにも思える。それに最終ラインもプレミアリーグでの経験者は多い。なんといってもほぼすべての選手が所属クラブでしっかりと出場時間を得ているというのが評価を高くしてしまっている要因だろう。

 

対するイタリアはここ4年でもっとも期待されていない時期のチームかもしれない。

ヴェラッティマルキージオが怪我で不参加であること、強力な点取り屋を擁していないことが主な理由だろう。しかしブッフォンキエッリーニボヌッチバルザーリは長年ユヴェントスのチームメイトであり、A.コンテ監督も3バックに精通しているというのはかなりポジティブな面であり、決して侮れない。

 

試合の概要

試合は0-2でイタリアが勝利する。31分にボヌッチからのロングボールにジャッケリーニが抜け出し先制する。92分にカントレーヴァのクロスからペッレがボレーシュートを決めて勝利を確定する。ベルギーはボールを保持するが、ハーフラインから前に全く進めない。イタリアの撤退守備はかなりレベルが高く洗練されていた。正直監督の差がスコアにそのまま表れてしまった。

 

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EURO2016-D3-CRO.vs.SPA

EURO2016-グループD3-クロアチアvsスペイン

 

まずはスタメンから

青がクロアチア、白がスペイン(Fig.1)

 

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Fig.1 クロアチアvsスペイン

 

クロアチアはスタメンを大幅に変更してきた。

ビダ⇔イェドバイ、ストリニッチ⇔ブルサリコ、モドリッチ⇔ロブ、

ブロゾビッチ⇔ピアツァ、マンジュキッチ⇔カリニッチ

6人変更はなかなか思い切った決断だと思う。コバチッチがここでも使われない理由については不明。2016-2017時点でイェドバイレヴァークーゼン、ブルサリコはアトレティコマドリード、ロブはナポリ、ピァツァはユベントス、カリニッチはフィオレンティーナと所属クラブが豪華で、期待の若手が多いクロアチア

(ただし2016-2017シーズンでレギュラーを勝ち取っている選手はいない)

 

スペインは以外にもスタメンを全くいじらなかった。

結局3戦すべて同じスタメン。

決勝まであと4戦あることを考えれば少しくらい選手の入れ替えがあると思っていた。

 

試合の概要

試合は2-1でクロアチアの勝利で終える。6分にクロアチアのハイプレスをかいくぐってモラタがあっさり先制。その後クロアチアのハイプレス&ショートカウンターに苦しむスペインだったが前半終了間際にペリシッチのクロスをカリニッチがヒールで決めて同点にする。後半は両チームともおとなしくなりスペインがハーフコートで試合を展開することが多くなる。クロアチアは自陣深い位置でボール奪取&ロングカウンターという形を88分にペリシッチが成功させる。グループリーグの試合においてこの試合は唯一逆転に成功した試合。

 

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EURO2016-D2-SPA.vs.TUR

EURO2016-グループD2-スペインvsトルコ

まずはスタメンから

 

赤がスペイン、白がトルコ(Fig.1)

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Fig.1 スペインvsトルコ

 

スペインのスタメンはチェコ戦と同じ。

イニエスタの存在はスペインにとって大きなアドバンテージだが、前線、特にノリートがしっかりとチャンスをモノにできるかというのは一つの焦点。スペインはグループリーグ突破までには最低勝ち点1が必要。

 

トルコもスタメンはほぼ同じ。トップをトゥサン⇔ユルマズに変更したのみ。

トルコは時々かなりアグレッシブなハイプレスを行うことがあるが、それがスペイン相手に通じるのかどうかというのが大事な部分。この試合で引き分け以上にしないとトルコのグループリーグ突破は厳しい。

 

試合の概要

試合は3-0でスペインの勝利で終える。33分にモラタ、36分にノリート、47分にモラタが決める。スペインはボール保持攻撃から多くのチャンスを作っていき、特にフリーになる機会が多かったサイドバックの攻撃参加はいいアクセントになっていた。スペインは内容、結果共にとてもよかった。

 

1. トルコの守備

 

前述のようにトルコは最悪勝ち点1を持って帰れば及第点である。

 

したがって1戦目のチェコのように引きこもる選択肢もあるが、この試合のトルコはカウンターも考慮した守備を行っていた。

 

スペインのビルドアップに対してプレスをかける様子がなかったトルコ。したがってスペインは難なくハーフラインまでボールを進めることができる。

トルコの守備は4-5-1(Fig.2)

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Fig.2 トルコの撤退守備(4-5-1)

 

スペインのビルドアップに全く関与しないという意味ではチェコと同じだったが、ここからの守備に対する姿勢は似通っている点と異なっている部分があった。

 

似通っている部分

スペインで一番時間と空間を与えてはいけない選手は間違いなくイニエスタ

チェコの時はロシツキーがきつめにマークしていたように、

トルコのトゥファンはかなり厳しめにイニエスタをマークする。

 

もうひとつはブスケッツが潤滑油にならないようにすること

チェコの時はネツィドがデスコルガードとしてブスケッツの動きを制限したように、

トルコのユルマズはゲームメイクのルートを制限しようとする。

 

異なっている部分

スペインのサイドバック、J.アルバとファンフランの攻撃性能はトップクラス。1on1、最終ラインへの飛び出し、クロスの能力は本当に高いと思う。

チェコサイドハーフのセラシエとクレイチがほぼマンマークで対応することで、サイドからのチャンスをうまく制限していた。

一方でトルコのサイドハーフ、チャルハノールとA.トゥランはサイドバックのオーバーラップに対して対処しないことも多かった。

 

ただし、対処しない(サボリ)という見方もできるが、カウンターに備えているという見方もできる。チェコのように6バックになってしまえばサイドからの攻撃はある程度制限できるが、じゃあ低い位置からカウンターを行うための選手がトルコにそろっているか?というと疑問ではある。

 

それならデメリット(サイドバックを野放しにすること)を承知でメリット(高い位置からA.トゥランやチャルハノールがカウンターに参加できる)を生かそうという考え方が間違っているわけではないと思う。

 

チェコよりは攻撃的な考え方で勝ち点3を視野に入れたサッカーではあるが、メリットとデメリットの採算がはっきりしていないと大火傷することがある。

 

今回はその典型例で、スペインは前半サイドから多くのチャンスを作っていき、トルコにカウンターの機会をほとんど与えなかった。

 

2. スペインの攻撃


相手の守備システム(サイドハーフのサボリ)によるところも大きいが、スペインのポジショニングも素晴らしかった(Fig.3)

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Fig.3 イニエスタサイドからのボール保持攻撃

 

例えばイニエスタからゲームメイクがスタートするとき

 

本来セスクはエジャクップとマッチアップするような位置にいるが、イニエスタがボールを持った時にはセスクは前線にいることも多かった。

 

このような位置にセスクがいるとトルコのギュニョルのノリートへのマークは曖昧になってしまう。

 

結果的にノリートがフリーで受けることでアルバがオーバーラップする時間と空間を与えていた。

 

ノリートがフリーになった時に見逃さないイニエスタもさすがだが、スペイン全体がボール保持攻撃のイロハを完璧に共有しているのは純粋にすごい。

 

ボールを保持して攻撃する場合、ポジションにとらわれると攻撃が閉塞することがままある。

ポジションを放棄しすぎるとバランスが崩れてカウンターの危険性も増すが、計画されたポジション放棄はボール保持攻撃を強力にする。

 

スペインの前半のチャンス

6m00(7)

10m00(6-10-18-7)

11m00(CK21-3)

28m10(5-22)

31m10(6-21-16-22)

33m40(22-7)

36m20(10-22)

44m40(16-7-3)

 

スペインは前半に多くのチャンスを作り、モラタ、ノリートが前半の間に得点する。

 

 

3. チェコ戦でのプレーがよくなかったノリートについて

 

この試合では、アルバがアウトサイドレーンのエリアでの攻撃を担当できたので、ノリートは比較的インサイドでプレーすることができていた。

 

インサイドレーンでのプレーはバルセロナに所属していた経歴もあるためか、やっぱり裏抜けやボールスキルはあるほうだと思う。

(まわりがイニエスタ、D.シルバ、ピケなので下手にみえてしまうこともあるが)

 

ただしアウトサイドレーンでのプレーはやっぱりよくないシーンが目立った。

聞き足が右足ということもあってアウトサイドレーンから1on1でカットインすることは多いが、深い位置からクロスを上げるシーンは相変わらずないような気がする。

 

4. 後半戦の変更

 

前半チャルハノール側から多くのチャンスを作られたトルコ。

そんなこともあってハーフタイム中にチャルハノールをシャヒンに変更する。

このときのポジションは以下のようになる(Fig.4)

 

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後半戦の布陣

 

チャルハノールの代わりに入ったシャヒンはインサイドハーフへ、トゥファンが代わりに右サイドハーフに入る。

 

後半になってもトルコの守備システムに大きな変化はなく、トゥファンもアルバを見逃すシーンが何回かあった。

47分にアルバが裏抜けし、最終的にモラタが決めて3-0とする。

ちなみにこのシーンにおいて、アルバの裏抜けはオフサイドだった。

 

 

3点差になった時点で両者の試合に対する熱は少し薄れてしまった。

ピケはミドルシュートを撃ったり、カウンターで最前線までオーバーラップしたりと結構めちゃくちゃなプレーもしていたし、トルコのトゥファンやA.トゥランは後半15分過ぎにはすでに諦め気味だった。

 

 

スペインのチャンス

47m30(6-18-7)

49m10(6-7)

59m50(10-16-21)

60m10(6-21)

 

余談

チェコの守備的な姿勢を批判していたが、サイドバックを捕まえないとスペイン相手にはこうなるということがわかった。カウンターの設計はとても大事だが、守備とカウンターの両立をスペイン相手にこなせるチームは今大会あるのか?というのは注目ポイントかもしれない

 

グループDのチェコとトルコはグループリーグを突破できなかった。したがって第3戦のチェコvsトルコのレビューはなし。トルコが0-2で勝ったらしいが、まあ納得はできる。

トルコのハイプレスに引っかかるチームならトルコはけっこう強いはず、クロアチアとスペインと同組になってしまったことが悔やまれる。

EURO2016-D2-CZE.vs.CRO

EURO2016-グループD2-チェコvsクロアチア

 

まずはスタメンから

白がチェコ青がクロアチア(Fig.1)

 

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Fig.1 チェコvsクロアチア

 

チェコ引き分け狙いで初戦に臨んだが、最終的にはピケに押し込まれて敗北。

したがってこの試合で勝ち点1以上は獲得しないと自力での突破の可能性は消える。

スタメンは右サイドハーフのセラシエをスカラークに、CFのネツィドをラファタに変更したのみ。

セラシエは元々SBの選手だということを考えれば、この試合はオフェンシブに臨もうとしてることがわかる。

 

クロアチアメンバーを変更していないので、モドリッチを中心としたビルドアップとゲームメイクが注目される。

 

試合の概要

試合は2-2-で引き分けで終える。クロアチアはホイッスルから後半80分まで守備からのカウンターで多くの決定機を作る。そのうち39分にペリシッチが58分にラキティッチがゴールを決めて2点先制する。その後モドリッチの離脱や爆竹問題などクロアチアにとって嫌な出来事が続き途中出場のシュコダ、ネツィドがそれぞれ決めて同点にする。試合内容は圧倒的にクロアチア優勢だったし結果もついてきていたのになぜか同点になってしまった変な試合だった。

 

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