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サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-A2-フランスvsアルバニア

EURO2016-グループA2 フランスvsアルバニア

 

まずはスタメンから

青がフランス、白がアルバニア(Fig.1)

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Fig.1 フランスvsアルバニア

 

フランスはルーマニア戦の内容を踏まえていくつかの変更をした。大きな違いは3センターから2センターに変更したことだろう。さらにパイェの両脇には個人で突破できる選手を配置した。

グリーズマン、ポグバ⇔マーシャル、コマンと大胆な変更に見えるが、これには理由がある。

 

アルバニア出場停止のカナをアジェティに、サイドハーフのロシをリラに、T.ジャカをメンサーに変更した。

ここでアルバニアがリーグを突破する条件を考える

 

3位でも突破可能であることを考えれば、勝ち点4で突破確定勝ち点3得失点差0でも9割方突破が決まる。つまりこの試合は引き分け以上で十分となり、サイドハーフに位置するリラはサイドバックの選手であることからもそういった雰囲気がうかがえた。

 

もう一度フランスの選手選考に立ち返るが、引いたアルバニアを崩すためにはサイドで個人技を有する選手の必要があるため、ウイングにドリブル能力が高い選手を配置したのは至極当然のことともいえる。ただしパイェがグリーズマンを押しのけてスタメンになったことは少し意外だった。

 

試合の概要

この試合は2-0でフランスが勝利する。フランスは89分、95分にそれぞれグリーズマン、パイェが決める。アルバニアの前半の守備はかなり機能しておりビルドアップ妨害に成功していたが、後半ポグバの投入とともにフランスが一方的に殴る展開となった。

 

 

1. アルバニアの守備

スイス戦でも披露していたが、アルバニアの守備はこの試合でもかなり厄介だった

基本的な守備システムは前節と同じで4-1-4-1。カンテ、マテュイディに対してアブラシとメンサーが監視する。どちらかがプレスをかけた時にはクケリが空いたスペースを埋めて4-4-2となる。(Fig.2)

 

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Fig.2 アルバニアのビルドアップ妨害システム

 

アルバニア2センターに対する守備システムはかなりレベルが高い。

フランスにとって誤算だったのは、アルバニアが引いた守備をするだろうという読みが外れてしまったことだろう。もちろん2センターの1角を担ったカンテのビルドアップは求められるレベルになかったというのも大きい。

 

結果的にウイングの選手を配置するために3センターから2センターに変更してしまったのは、ビルドアップという意味ではあまりよくなかった可能性が高かった。

 

 

ただしフランスも全く対応できなかったわけではなく、マーシャル、コマン、パイェがたびたび下がってビルドアップをサポートする動きを繰り返しており、

たびたびハーフラインを越え、スムーズに前進しているシーンも何度かあった

 

そのため、11vs11の時のスイス戦と比べてもハーフラインよりも押し込まれてしまう展開が多かったアルバニアだが、押し込まれてしまった時の対応は全く異なっていた。

 

スイス戦ではサディクをデスコルガード(カウンター要員)としてセンターライン付近で待機させていたが、フランス戦では5-4-1に変化する。

具体的にはサイドハーフのリラをウイングバックのようにし、残りの4人のMFで中盤のラインを形成する。中盤の選手はエブラ、マテュイディ、カンテ、サニャに時間と空間を与えないようにプレスを繰り返していた。 (Fig.3)

 

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Fig.3 押し込まれた時のアルバニアの守備

 

このように1つの守備システムだけでなく、押し込まれてしまった時の対応策をしっかり考えていたことで、中央で崩されたシーンは皆無で、ウイングの突破に対してもうまく守れていたと感じた。

アルバニアビルドアップ妨害だけでなく撤退守備もそれなりの強度をほこっていた。(ただしフィジカル面や対人能力を考えると撤退守備のレベルは高いものではなかった)

 

2. アルバニアの攻撃

アルバニアの課題は攻撃である」とスイス戦でも触れたが、やはり守備→攻撃のトランジションで違いを作れる選手があまりいない。したがってチャンスはロングボールやセットピースから生まれた。前半戦のチャンスの数は依然として少なかったが、いずれのチャンスの質もかなり高かった。

 

ALB

12m40,23m50,38m00

 

3. 選手交代

後半になるとフランスは、マーシャルを変えてポグバ投入。

これの意味は前述したように、ビルドアップ問題を解決するために3センターに戻したと考えられる。交代をコマンではなくマーシャルにした理由については、純粋に前半のパフォーマンスを評価した時、コマンのほうがチャンスメイクに絡んでいたからだろう。

マーシャルのドリブルは相手の読みを外すことに長けているが、コマンのドリブルは純粋に加速力で勝負することも多く、引いた相手にはコマンのほうが効果的だった。

 

4. フランスの攻撃、アルバニアの守備

ポグバの投入によってフランスのビルドアップ形式も変化した(Fig.4)

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Fig.4 フランスのビルドアップ形式

 

フランスはカンテが最終ラインに入ることでビルドアップの時にコシルニーとラミのポジションを少し上げることができる。それに伴って、マテュイディやポグバを相手のライン間にポジショニングさせることができた。

 

つまりメンサーやアブラシは、

プレスをかけるべきなのか (コシルニー、ラミ、カンテを潰す)

ゾーンを守らなければいけないのか (マテュイディ、ポグバのプレーを限定する)

という選択をしなければならない。

 

この試合のアルバニアはゾーンを守ることにした。

 

したがってフランスがボールを持ってもプレスにはあまりいかずに4-5-1や5-4-1のバスを自陣に止めることになる。後半のアルバニアはビルドアップを妨害しなかったため、フランスは相手陣地でプレーする機会が増えていった。それに伴ってフランスのチャンスが増えていったのはいうまでもない。

フランスの前半のチャンス数は0だったのに対して、

後半は10。差は明らかだった

 

45m30,52m00,52m50,66m20,67m50,78m00,82m10,88m20,89m10,95m00

 

アルバニア2センターに対する守備の回答は用意していたが、フランスレベルの3センターへの対応は諦め、撤退守備に準ずるのみだったように思える。

 

前半のアルバニアはビルドアップを妨害することでいい形でトランジションできていた場面も多かったが、後半のアルバニアは自陣に押し込まれてしまい、とにかく跳ね返すことしかできていなかった。

 

再三いうようにフランスのエアバトルの強さは参加チームの中でも群を抜いていることも一方的な展開を作ってしまった要因だろう。

 

5. アルバニアの攻撃

フランスのディフェンスラインの中で最もエアバトルに弱いのはだれか?と言われたらおそらくエブラになるだろう。(SBの中ではかなり強い部類だが)

 

アルバニアはカウンターに持ち込めない場合、特にゴールキックなどにおいてはエブラのほうに執拗にロングキックをしていた。(Fig.5)

 

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Fig.5 ペルシャゴールキックの内訳

 

図を見れば明らかだが、右サイドに多くロングボールを蹴っていることがわかる。

エブラと競った相手はリラだったが、

肝心なことはロングボール攻撃が成功したのかということだ。(Fig.6)

 

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Fig.6 エブラのエアバトルの内訳

 

緑のヘがエアバトルの勝利を表しオレンジのヘがエアバトルの敗北を表す

内訳は17/23でエブラが勝利している。実はこの数字はかなり異常だ。

 

そもそも押し込まれてもいないチームの選手のエアバトル回数は減少していく傾向にある(当たり前)。押し込まれたチームの選手でも5回あるかないかなものだが、今回は23回とかなり異常。もっと言えば勝率7割越えは驚異的だ。

 

サッカーの試合はテンポが速い試合と遅い試合が存在するが、実はどんな試合でもトランジション(守備⇔攻撃の入れ替わり)の回数は90分で60~80回に収まる。つまり60回のトランジションがある試合では、60回の攻撃と60回の守備から試合は構成される。

 

エブラはそのうちエアバトルで17回守備に貢献していると考えれば、どれだけこの試合の守備に貢献していたかはわかるだろう。

 

アルバニアのプランBはエブラのエリアのロングボールからチャンスをつかむだったが、全くうまくいかなかった。

 

余談

フランスの強みは監督にあると思う。後半開始と同時にシステムを相手に合わせて変更することで後半は完璧に自分たちの時間にした。一方で人材が豊富すぎてメインの戦術が定まっていないという問題もある。

 

もちろん相手ありきの話だが、2センターの場合マテュイディの相方は本当にカンテでいいのか?ということや、グリーズマンとパイェどちらを攻撃の主軸にするか?などいまだに不確定要素が多い。

 

アルバニアはおしい試合が多い。そこが常に上位にいるチームとの差なのかもしれないが、個人的にはアルバニアがグループAを突破してほしかった。グループAの第3節ルーマニアvsアルバニアは両チームともグループリーグを突破できなかったので省略する。