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UCL16-17-A6-Basel.vs.Arsenal

UCL16-17-A6-バーゼルvsアーセナル

まずはスタメンから


白がバーゼル、黄がアーセナル(Fig.1)

 

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Fig.1 バーゼルvsアーセナル

バーゼルはいつもの4-1-4-1で挑んだ。

ただし右サイドハーフのスタメンだったビャルナソンはエルヌユッシが、ドゥンビアの代わりにヤンコがスタメンとなっている。ビャルナソンに関してはこの時期にアストンヴィラへの移籍が決まっていたためそれに伴うものだと思う。

 

アーセナルもいつもの4-2-3-1。

ただし右サイドバックをG.パウリスタ、右センターバックをホールディングに、L.ペレスを右サイドハーフに投入している。コクラン出場停止、S.カソルラ怪我、ベジェリン怪我、ムスタフィ復帰明けと結構面倒な状況になってきていることとA.サンチェス、エジル疲労が心配な時期。

 

試合の概要

試合は1-4でアーセナルが勝利する。8分、16分にギブスからL.ペレスという流れで2点先取する。後半にも46分にA.サンチェスからL.ペレスが決めて3点目、ロングカウンターでエジルからイウォビが決めて4点差とする。78分にドゥンビアとヤンコのコンビネーションからドゥンビアが1点返すが最終スコアは1-4でアーセナルの勝利。アーセナルは序盤で2得点してしまったことや過密日程だったこともあってこの試合の強度はそこまで高くならなかった。4失点してしまったがバーゼルの守備を攻略できたかというと微妙だったがアーセナルはチャンス時にしっかりと得点を重ねられたことが大きかった。

 

バーゼルの守備、アーセナルのビルドアップ、ゲームメイク

第2節は5-3-2でアーセナルに挑んで大火傷したが、この試合ではバーゼルはいつもどおりの4-1-4-1⇔4-4-2の可変システムで挑んだ。つまりデルガドとディエが交互にプレスするというパリサンジェルマンに対する姿勢と同様の手法をとった。しかし異なる相手、システムに同じフォーメーションで挑む場合対処の方法が異なる事項も増えていく (Fig.2,3)

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Fig.2 パリサンジェルマン戦のバーゼルの守備

 

パリサンジェルマンはCB間に1人ヴェラッティやT.モッタを置いていたので、

1列目は2vs3で不利な状況、ただし2列目は2vs2となっており出し手にプレッシャーをかけ辛かった分受け手をマークすることは容易だった。

 

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Fig.3 この試合のバーゼルの守備

 

たとえばディエが前に行った時には

ヤンコがホールディング、ディエがコシールニー

シュテフェンがG.パウリスタ、エルヌユッシがギブス

デルガド、T.ジャカがG.ジャカ、ラムジー

を監視するという形になる。

 

しかし今回は1列目は2vs2、2列目は2vs3となっており、受け手にフリーの選手がでてしまう。つまりアーセナルのビルドアップおよびゲームメイクの目標は最終ラインの選手およびセンターハーフエジル、イウォビ、L.ペレスを見つけられるかが鍵となってくる。

逆に言えばバーゼルマンマークで選手を監視しつつ受け手を潰すのか出し手を潰すのかをはっきりさせチーム全体が連携して正確なマークチェンジを行えるかが鍵となる。

(出し手を潰すのであれば前線は連動してプレスをかけなければいけないし、受け手を潰すのであればエジルのポジションに合わせて最終ラインが一時的にマークしたりしなければならない)

この可変守備に関してはバーゼルも結構熟練度が高く、アーセナルの最終ラインを苦しめていたのは確かだった。しかしこの守備はセンターハーフのディエとデルガドの運動量が必要なこと、全体がマークチェンジしながらゾーンとマンマークを繰り返していくので連動しなくなるとフリーの選手が中央でできてしまうため簡単にボールを進めることができてしまう。もちろん連動していたとしてもこのレベルになるとボールを運ばれてしまうことはある。

 

アーセナルがハーフラインのバーゼルの守備を攻略するとバーゼルは全体がリトリートして4-5-1へと変化する。(Fig.4)

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Fig.4 バーゼルの撤退守備

こちらに関してもパリサンジェルマンの時と同じような対応を行う。すなわち4-5-1で守りながらも、サイドハーフアーセナルサイドバックのポジショニングに合わせて守るため、実質6-3-1のようになることも多い。

 

アーセナルは4-1-4-1⇔4-4-2可変守備には手を焼いていたが、4-5-1(6-3-1)の守備に対しては自分たちの強みをうまく生かしていたと思う。

 

バーゼルは15分までに2失点しているが、1失点目は自分たちの怠慢とミスから生まれてしまった失点だが、2失点目は完全にアーセナルが崩し切ったとみていいシーンだった。

 

2失点目

2失点目は非常にバーゼルの弱みを突いた質の高い攻撃だったかもしれない。まず4-1-4-1⇔4-4-2可変守備の攻略はイウォビがいいタイミングでボールを受けたこととバーゼルの全体の怠慢さから始まった。(Fig.5)

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Fig.5 アーセナルのゲームメイクI

バーゼルのミスは最終ラインを低いこと

それに伴ってディエとT.ジャカは微妙なポジショニングをしてしまったこと。

本来ディエがコシールニーにプレスしなければならないが、この場合ではコシールニーに味方とスペースを探す時間を与えてしまった。(Fig.6)

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Fig.6 イウォビのボールを受ける動き

イウォビが空いたスペースに浮くことでジャカがフリーでボールを持つことができ、前進することができた。ここでフリーでボールを持たれた場合バーゼルは撤退する。

こういうライン間でボールをもらう動きはサイドハーフにとって重要な要素の一つだと思うが、イウォビはこの動きがなかなかうまい。

 

False9とReal9の違い

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Fig.7 カバーニ、G.ジルー、A.サンチェス

それぞれ得意なプレーは違うが、1トップの時のカバーニとジルーとA.サンチェスのプレースタイルを考えるとカバーニとジルーはReal9、すなわちよりゴールに近い場所でプレーすることが多く、プレーエリアもそこまで広くはない。

一方でA.サンチェスはFalse9、すなわちプレーエリアも広く、ドリブルやパスなど攻撃に関与する機会は多い。

 

バーゼルが撤退した時のアーセナルはA.サンチェスのワントップが大きな強みとなる。

 

前述のようにバーゼルサイドハーフアーセナルサイドバックマンマークしているため、バーゼルの中盤は実質3人。しかしアーセナルはG.ジャカ、ラムジーエジル、A.サンチェスがこのエリアを攻略しようとする。

(カバーニやジルーはA.サンチェスほどこういったボール保持攻撃のチャンスメイクに参加しないで最終ラインとの駆け引きを行うことが多い)

 

こうなった時のA.サンチェスとエジルの攻撃力はやっぱり素晴らしく、簡単にチャンスメイクしてしまう。

 

いずれの得点もギブスからL.ペレスという流れだったが、その過程をみてみると2点目は完全に相手の弱い部分を崩した素晴らしいゴールだった。

 

ここまで書くとさもアーセナルが相手の守備陣を破壊しつくしかのようにも思えてしまうが決してチャンスが多かったわけではない。特にボール奪取してからのカウンターではイージーパスミスも多くみられ、4-1-4-1⇔4-4-2の可変守備も得点シーンを除いて崩せたシーンはわずかだった。これが前半早々に2得点してしまったがための気の緩みなのか、疲労によるプレー精度の低下なのかなどはよくわからない。

 

アーセナルの撤退守備、バーゼルのチャンスメイク

第2節ではアーセナルのハイプレスはかなり嵌っていた。この試合も開始直後こそハイプレスをおこなっていたが、前半早々に2得点をあげるとハイプレスする時間も短くなっていった。12月のプレミアの過密日程は尋常じゃないので抜けるときに抜いておくというのは必要だと思う。

 

しかしアーセナルの1列目はプレスをしないときにはほとんど守備をしないため、ハーフライン付近でアーセナルバーゼルを押さえつけることができない。ルドゴレツほどボールを回せないチームであればなんとかなるが、バーゼルクラスになると中盤で持ちこたえられず押し込まれてしまう場面もでてくる。(Fig.8)

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Fig.8 アーセナルの撤退守備

 

もちろんエジルやA.サンチェスも撤退してくれるときはあるが基本的にかなり気まぐれで、図のように8人で守っていることも多かった。対してバーゼルはFig.7に含まれている選手以外にも左サイドバックのA.トラオレは頻繁にオーバーラップしてくるため、アーセナルの撤退守備はどうしてもサイドにフリーなゾーンができやすくなってしまう。

 

もちろんバーゼルのオフェンス陣は撤退したアーセナルの守備を切り崩せるようなクロスもパスもドリブルもない。スタメンのなかではシュテフェンのドリブルとデルガドのクロスが活路だったが基本的にオフェンス能力はルドゴレツよりも低い。

 

ただし撤退してしまうということはそれだけチャンスメイクする数も増えてしまうのでどうしてもアーセナルの守備は危なっかしい場面が多くなってしまう。前半2点リードして折り返し、ボールも保持しているものの、ボールポジションはバーゼルのほうが勝っていたのはこんな部分があったからだと思う。アーセナルの守備はEURO2016のベルギーやグループリーグ時のスイスに近い。アーセナルはボール保持率は55%だったもののボールポジションは42%、すなわちボールを持っていないときには押し込まれ、ボールを持っている時には前に進めなかったことを示している。

 

バーゼルのチャンス(前半)

10m20T(11-24-10)Grade4

17m40T(5-10-3) Grade4

39m20P(17-21-10-11M) Grade4

42m30P(5-11-24-6-5-10) Grade4

 

アーセナルのチャンス(前半)

7m20P(3-11-7-3-9)Goal

15m00P(29-8-11-7-11-3-9)Goal

24m00T(9-17-7)Grade5

 

後半戦

ただし、この試合のアーセナルはチャンスこそ少ないもののそのチャンスをしっかりとゴールにつなげてくる。46分にギブスの素晴らしいカットからA.サンチェス、L.ペレスとつなぎL.ペレスがうまく沈めて0-3とした。この時点でバーゼルは前線から積極的にボールを取りにいくために4-4-2の同数のハイプレスを行うようになる。(Fig.9)

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Fig.9
 バーゼルのハイプレス

バーゼルのハイプレスはかなり攻撃的でハイリスクだった。

というのもヤンコとディエがCBの2人を、

シュテフェン、エルヌユッシがSBの2人を、

T.ジャカ、デルガドがCHの2人を、

M.ラング、A.トラオレがSHの2人を監視するというスタイルだった。

つまり相手のビルドアップの人数にあわせてかならず高い位置にマンマークをつけていた。ただしアーセナルはハーフラインでゲームメイク妨害をされるくらいならハイプレスを躱して大きなチャンスを作ることの方がむしろうまい。

ボール保持攻撃では足枷となることが多いラムジーの自由なポジションチェンジはマンマークする相手からしたら非常にやりづらい。

実際この試合でもラムジー→A.サンチェス→エジル→イウォビという形で4点目を53分に決めたが、アーセナルの強みがしっかりと生かされたゴールだったと思う。

 

このあと途中出場のドゥンビアがヤンコとのコンビネーションから1点返すが、反撃の狼煙にはならなかった。

 

バーゼルのチャンス(後半)

50m10CK(3-10-21)Grade4

61m10FK(11-17-3-39)Grade4

82m10P(11-3-39-11-88-21)Grade4

 

アーセナルのチャンス(後半)

46m20T(3-7-9)Goal

52m40P(17-6-8-7-11-17)Goal

66m10FK(7)Grade4

72m30P(29-11-12)Grade4

75m30T(3-14)

 

余談

序盤は特にスコアほど内容に差はあるようには見えなかったが、L.ペレスの得点はアーセナルをかなり助けた。3点差ついてからのバーゼルの同数プレスはメリットよりもデメリットの方が大きく、試合がオープンになればなるほどやっぱりアーセナルは強くなる。

 

 

UCL16-17-A5-Arsenal.vs.PSG

 

まずはスタメンから

赤がアーセナル、青パリサンジェルマン(Fig.1)

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Fig.1 アーセナルvsパリサンジェルマン

アーセナルはいつも通りの4-2-3-1

ただし前節ルドゴレツ戦と同様にジルーをトップに置いている。ベジェリンは足首を負傷したためジェンキンソンが引き続き務めている。2センターはコクランとラムジー

 

パリサンジェルマンもいつも通りの4-3-3

ただしディマリアの怪我に伴って左サイドハーフマテュイディが投入されている。オーリエは暴行事件の影響でビザが発行できずアーセナル戦に帯同できないため右サイドバックはムニエルが務めることになった。

 

試合の概要

試合は2-2で引き分けだった。17分にマテュイディの抜け出しからのクロスをカバーニが合わせて先制、しかし45分にはクリホビアクの安易なロストからA.サンチェスをクリホビアクが倒してしまいPK、これをジルーが決めて同点にする。58分にはジェンキンソンのクロスをマルキーニョスがクリアしようとしたところヴェラッティに当たってしまいアーセナルが逆転。しかし75分にベンアルファコーナーキックからルーカスが合わせて同点。試合の大部分はパリサンジェルマンがうまくプレーしていたが、自陣でのミスと流れを持って行かれたわずかの時間で2失点してしまった。しかし1節と同じくパリサンジェルマンは強豪チームに対して適切に戦えることを再び証明できた気がする。

 


【ハイライト】アーセナル×パリサンジェルマン「UEFAチャンピオンズリーグ16/17 GS 第5節」

 

 

パリサンジェルマンの前線守備、アーセナルのビルドアップ

この試合ではパリサンジェルマンが前線から激しいプレスを前半の間はほぼ常に行っていた。(Fig.2)

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Fig.2 パリサンジェルマンのハイプレス

 

パリサンジェルマンのプレスの基本は

1.カバーニコシールニーとムスタフィのラインを分断しつつプレス

2.マテュイディ、ルーカスがジェンキンソン、ギブスへのパスコースを防ぎながらプレス

3.T.モッタ、ヴェラッティがコクラン、ラムジー、クリホビアクがエジルマンマーク

4.下がってきたA.サンチェス、イウォビはマクスウェル、ムニエルが監視

といった形になっている。

 

アーセナルは結構このプレスに苦労していた。とにかくカバーニマテュイディ、ルーカスのプレススピードが速く、ほとんどゆったりボールを持つ時間がなかったからである。

 

ただしどんなプレスにも弱みはあって、今回の場合はアーセナルの最終ラインが4人に対して3人でプレスをしかけている。これはパリサンジェルマンの最終ラインがよりセーフティにプレーするための保険だが、アーセナルはこの部分からプレスをはがしていかないといけない。4vs3のプレスの時には最終ラインのビルドアップ能力はもちろん必要だが、それ以上に4人が適切な距離を保つことが重要だと思っている。


たとえばムスタフィのこの場面(Fig.3)

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Fig.3 ムスタフィのジェンキンソンへの指示

 

このようにジェンキンソンはムスタフィの近くでビルドアップを開始しようとすることが多かったが、ムスタフィはジェンキンソンのそういったポジショニングに対して注意をしていた。Fig.2をみるとわかるがやっぱり4vs3のプレス回避において特にCBとSBが適切な距離を保ち続ければマテュイディに的を絞らせずにすむ。

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Fig.4 ジェンキンソンのポジショニング修正

その後適切な位置に移動したジェンキンソンは十分に余裕をもってフリーでボールを受けられるようになっていた。

 

もちろんだからといってジェンキンソンはフリーでボールを受けることができてもビルドアップできるタイプではないので、ここからアーセナルが効果的に攻めることはなかった。

 


もうひとつはCBがドライブするという手段

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Fig.5 コシールニーのドライブ

 

ギブスが高い位置をとってルーカスを引き付ける。

コクランがヴェラッティを引き連れて中央のエリアからいなくなる。

これを使えばセンターバックが解放されているときであれば容易にドライブすることができる。これは試合中にも何回か見られた動きで、アーセナルもうまくボールを進めることがあった。残念ながらチャンスにつなげることはできなかったが、ここらへんのドライブの判断はムスタフィもコシールニーも結構うまい。

 

パリサンジェルマンのゲームメイク、アーセナルの守備

アーセナルは前半、今までの自分たちの色だったハイプレスハイラインを行わずに撤退守備を選んだ。もちろん6-0で勝利したルドレツカ戦のようにアーセナルが中盤でボールを奪取することができればこの狙いは成功したといえる。しかしアーセナルの撤退守備に堅固な部分はほとんどなかった。

 

アーセナルの問題はとにかく1列目が守備しないことにある。

 

4-4-2の弱みは?

 

と聞かれれば

 

1列目の脇

2列目と3列目のライン間

 

が確実に急所である。

 

後者に関しては相手との兼ね合いもあるので対策はまちまちだと思うが、前者に関しては確実に1列目の運動量でカバーできる部分が大きい。それは先のEURO2016クロアチアラキティッチマンジュキッチコンビやアイスランドのボドバルソン、シグトルソンコンビが示していた。

 


アーセナルは撤退した時に4-4-2
で守備をおこなう。

そしてパリサンジェルマンのビルドアップの基本はクリホビアクかヴェラッティを最終ラインに組み込んで疑似3バックを形成する(Fig.6)

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Fig.6 アーセナルの撤退守備

 

1列目に関しての基本はエジル、ジルーで2列目の左がイウォビ、右がA.サンチェスだったが、A.サンチェスの攻撃でオフェンスが終了した場合にはエジル、A.サンチェスの1列目でジルーが2列目の右となることもあった。

 

Fig.6のときにはエジルはイウォビにもっと高い位置をとれとジェスチャーしているが、マークを確認してみると

ギブスはルーカス、イウォビはムニエル、ラムジーヴェラッティを監視しているため本来エジルマルキーニョスのドライブを防がなければならない。でもこういう時にエジルはほとんど守備しない。

 


この例に関してはアーセナルがひどい時かつパリサンジェルマンがよかった時の話なので1試合通してみればもうちょっと安定しているのだが、たびたびこういう例があるということ自体がアーセナルの撤退守備を非常に脆くしてしまっている。現代のサッカーではある一定レベルを超えたら多分8人では守れない。

 

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Fig.7 T.シウバ(左)マルキーニョス(右)

個人的にはマルキーニョスとT.シウバはもっとドライブして積極的にゲームメイクに絡めばパリサンジェルマンのボール保持攻撃はもっと高いレベルに行くと思うがマルキーニョスもT.シウバもあまり攻撃には絡まないことの方が多い。チームの方針なのか選手の能力的なものなのかは継続してみていないのでよくわからない。

 

次はアーセナルの失点シーン

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(Fig.8)

 

Fig.8 アーセナルの失点シーン

根本の問題は1列目がしっかり守備をしないからこれだけ押し込まれているにも関わらずフリーでT.モッタがボールを持ててしまっている。

局面の問題でいえばラムジーはもっとT.モッタにマークするべきだったし、ムスタフィはしっかりマテュイディの裏抜けを守らなければならなかった。

 

結果的にT.モッタのスルーパスに抜け出したマテュイディがクロスをエリア内に入れてカバーニが押し込むという形でパリサンジェルマンが17分に先制した。

 

たぶん局面だけみればラムジーとムスタフィが確実にミスしているが、そもそもなぜこういう状況になっているかといえば個人的には1列目問題が大きいと思う。

 

パリサンジェルマンのポジティブな点

パリサンジェルマンは前半チャンスを多く作ったわけではないが、アーセナルの4-4-2の脇から崩すという共通理解のもと、あいてにロングカウンターをさせることを許さずクロスを供給し続けた。パリサンジェルマンはボール保持攻撃を得意としたチームではないが、引いてきたアーセナル相手に1点できたことはポジティブな結果だったと思う。

 

パリサンジェルマンのネガティブな点

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Fig.9 左からT.モッタ、ラビオ、クリホビアク、ヴェラッティ

一方で移籍してから4~5ヶ月たった今でもクリホビアクは1ピボーテとして安定しておらず、結局このポジションの本職はT.モッタしかいない。ラビオはポテンシャル的に可能で実際リーグアンでは何回か試しているようだが、チャンピオンズリーグで披露したことはない。ヴェラッティに底をまかせるのは守備的に難しい部分もある。

この試合の前半の失点はクリホビアクが低い位置でジルーにボールを奪われ、エリア内に侵入してきたA.サンチェスをクリホビアクがファールしてしまった。この試合以降クリホビアクがパリサンジェルマンの戦力として数えられなくなってしまった。

 

後半の変更点

アーセナルは前半も時々ハイプレスをしていたが、ほとんどは撤退していた。しかし得点シーンはハイプレスから生まれたようにアーセナルの本来の強みはハイラインハイプレスである。後半の初めはよりプレスを志向したサッカーを行った。

 

パリサンジェルマンのT.シウバとマルキーニョスは時間に余裕があるときはボールをちゃんと運べるがプレスをかけられるとちょっと怪しくなってくる。さらにパリサンジェルマンのプレスも前半よりは激しさを失い始めていたのが50分あたりの話。

 

この時から緩やかにアーセナルはボールを前線でボールを持つことができ始め、まさしく50分~60分はアーセナルの時間帯だった。58分にはヴェラッティオウンゴールという形でアーセナルが逆転に成功するが、この時間帯におこなっていたアーセナルの姿勢は非常に正しいものだったと思う。ただしアーセナルはハイプレスからのPKとプレー強度をあげた10分程度だけで2点をとっているため非常に幸運だったといわざるを得ないが、とにかく逆転した。

 

パリサンジェルマンの反撃

なぜか得点した段階でアーセナルはハイプレスをやめてしまった。この時期から緩やかにアーセナルの調子がおちているみたいだが、特にA.サンチェス、エジル疲労がたまって効果的な前線からのプレスを続けることができなくなっているからだと思う。

 

ここからはパリサンジェルマンも強度をあげていく。66分にはクリホビアクをベンアルファに変更し、T,モッタを1ピボーテヴェラッティベンアルファを中央でプレーさせるより攻撃的なスタイルに変更した。(Fig.10)

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ベンアルファを投入したこともそうだが、コーナーキックでのカウンターを境にA.サンチェスとイウォビの位置が入れ替わってしまったこともパリサンジェルマンにとっては追い風となった。
Fig.10 それぞれの陣形(66min~)

これはパリサンジェルマンサイドバックの攻撃参加の回数と質を考えれば簡単だが、ムニエルのほうが圧倒的に攻撃参加している。だからこそマクスウェルの衰えが隠し切れなくなっている今季からはクルザバが左サイドバックに定着しかかっているともいえる。(ただし守備に関してはマクスウェルの方が安定している気がするので、そこらへんは相手とのバランスの問題)

 

サイドハーフの位置でA.サンチェスを守備で使いたくない理由は簡単で、後半になればなるほど疲れて戻らなくなってしまうこと。(Fig.11)

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Fig.11 ムニエルの攻撃参加、A.サンチェスのサボリ

 

これだけサイドを開けてしまえばムニエルは簡単にクロスをあげることができてしまう。この時間帯はとにかくムニエルがフリーでクロスを出し続け、カバーニが裏抜けしていたため、非常に単純だがゴールの気配が強まっていった。

あとは残り20分のなかで何回チャンスを作れてゴールまでたどり着くかという状態になった。そんな中でパリサンジェルマンベンアルファのCKからルーカスがフリーで打ったシュートをイウォビが逸らしてしまいオスピナは反応できずに同点になった。

 

局面では確かにイウォビのポジショニングが悪い!というのは確かに理解できる。

でもそうなった理由は?といわれたらA.サンチェスが2列目の守備をさぼって押し込まれ始め、パリサンジェルマンの攻撃の試行回数がふえてしまったからというのが理由だと思っている。そういう意味でアーセナルの最終ラインで長年活躍し続けているコシールニーは本当にすごいと思う。

 

この試合における1-1と2-2ではまるで意味が違う。

というのもチャンピオンズリーグの1位、2位はまずは当然勝ち点勝負、次に直接対決の結果、その次に得失点差という順番で順位が決定する。パリサンジェルマンのホームでは第1節1-1の引き分けで、第5節では2-2の引き分けで終わればアウェーゴールの多いほうが順位が高くなる。したがってこの時点でパリサンジェルマンが勝ち越したという状況。

 

もちろん最終節の結果次第ではひっくり返る可能性もあるが、この1戦は1位決定における大きなウエイトを占めた試合だったということ。

 

アーセナルはここから追加点をとろうと厚みのあるボール保持攻撃を行おうとするが、逆にパリサンジェルマンは前がかりになったアーセナルの裏をついてロングカウンターを仕掛けることが多くなった。スペースがある場合にはルーカス、カバーニがとにかく輝く。残念ながらこの試合でも2-2になった75分以降の15分間に2度カウンターから決定機を作ったがどちらもゴールになることはなかった。

 

カバーニは何度も決定機を外す。C.ロナウドほど決定力があればグループリーグの時点で10点は決めている。ただし決定機を外しつつも今シーズンゴール数が欧州トップクラスである理由はそれだけ決定機をつくることがうまいともいえる。特にこの試合の裏への抜け出しのスピードはムスタフィとコシールニーを完全に困らせていた。

あまり足の速さで注目される選手ではないが、一瞬の加速力が尋常じゃないほど速く、そういった動き出しの質の高さと速さがカバーニの非常に魅力的な部分。

 

https://www.youtube.com/watch?v=H4opci5hkHQ

 

アーセナルのチャンス

45m00PK(12)Goal

56m30P(6-17-7-8-25-12)Grade4

58m50P(7-25-PSG6)Goal

73m30T(8-12-7-8)Grade4

 

パリサンジェルマンのチャンス

14m40CK(7-20-2)Garde5

17m40P(2-8-14-9)Goal

53m00FK(7)Grade4

62m30T(4-7-9(No Penalty))

75m50CK(21-7-Arsenal17)Goal

78m10T(7-9)Grade5

81m20T(7-9)Grade5

88m20T(22-6-22)Grade4

 

余談

試合を振り返ってみれば45~60分以外の時間帯はパリサンジェルマンが圧勝していた。イブラヒモビッチがいた時と違って運動量を重視し始めているが強豪との試合ではよりそのメリットが目立っている。

 

アーセナルは個人的にかなり難しい状況だと思う。パリサンジェルマンと2戦2分けで終えたわけだがいずれの試合も自分たちの色を出せた時間は短く、苦手な局面では弱さを見せてしまっており結構危機的状況かもしれない。

UCL16-17-A4-Ludogorets.vs.Arsenal

UCL16-17-A4-ルドゴレツvsアーセナル

まずはスタメンから

緑がルドゴレツ、黄がアーセナル(Fig.1)

 

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Fig.1 ルドゴレツvsアーセナル

 

ルドゴレツはいつも通りの4-4-2

サイドハーフのミシジャンをケセルに変更し、J.カフーを右サイドハーフに、ケセルをフォワードにした。

 

アーセナルは4-2-3-1だが多くの選手を変更しているため、今までとは少し違うチームに名ている。スタメンのベジェリンは休養ということでジェンキンソンに変更、ウォルコットはコンディション不良、S.カソルラは足首の負傷がありサイドハーフにはラムジー、A.サンチェスが配置されている。したがって1トップにはジルーが投入された。

 

 

試合の概要

試合は2-3でアーセナルが勝利する。開始12分のFKにJ.カフーが合わせ先制、その直後15分にはバンデルソンからスタートしたカウンターアタックを成功させてケセルが押し込むしかしアーセナルは20分にエジルのクロスからG.ジャカが、44分にラムジーのクロスからジルーが決めて前半のうちに同点にする。膠着状態が続いていた後半だったが途中出場したエルネニーのボール奪取からのロングパスをエジルが受け取り冷静に決めて最終スコアは2-3となった。前半早々に先制したルドゴレツは、第2節パリサンジェルマン戦と同様に引きこもったが、あまり撤退守備能力は高くなく、前半獲得した2点のアドバンテージを生かし切ることはできなかった。

 

試合開始早々の2点リード

ホームで6-0でルドゴレツに勝ってるからといって同じ相手との試合が常に簡単になるわけではない。ルドゴレツは第3節と同様に守備を固めカウンターアタックで得点を目指す部分について特に変化はなかった。

 

しかし開始12分にバンデルソンのFKにJ.カフーが合わせて先制する。そしてその3分後にもバンデルソンからスタートしたロングカウンターでJ.カフーがギブスを抜き去りクロスをケセルが押し込む。

 

ルドゴレツにとってこれ以上にない試合の立ち上がりだったといえる。

J.カフーの個人能力、特に瞬間的なスピードはルドゴレツがチャンピオンズリーグで戦う上で重要になっている。プレミアリーグへの移籍も噂されている選手だが中位までのチームならチームの戦いによってはフィットすると思う。いかにもイングランドが好きそうな選手である。

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Fig.2 J.カフー

 

この後の展開は第2節パリサンジェルマンと同じでルドゴレツは引きこもってこの2点を守りきろうとする。

 

アーセナルのビルドアップ、ゲームメイク、ルドゴレツの守備

アーセナルのビルドアップ

前半のルドゴレツは2点のアドバンテージがあることもあって守備時にプレスをかけることはほとんどない。したがってアーセナルはハーフラインまで簡単にボールを運ぶことができた。

 

アーセナルのゲームメイク

このときのルドゴレツの守備陣形は4-4-2。(Fig.3)

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Fig.3 ルドゴレツの4-4-2

 

ルドゴレツの撤退守備の鉄則は見る限りでは2つ

サイドバックがA.サンチェス、ラムジーを監視すること

サイドハーフがジェンキンソン、ギブスを監視することは徹底されていた。

 

したがってアーセナルサイドバックの位置によってルドゴレツは6バックのようになってしまうことも間々あった。こうなったときの中盤、特にアベルとディアコフは誰をどうマークすればいいのかわからない状態に陥ることが多かった。(Fig.4)

 

 

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Fig.4 アベル、ディアコフの混乱

 

特にコクラン、エジル、G.ジャカがボールを持った時プレッシャーをかけたほうがいいのか、それともゾーンを守るべきかという判断はとても厳しかったと思う。

 

しかしアーセナルは前半、後半ともに多くのチャンスを作ることはできなかった。

多分ラムジーのポジショニングに問題があった。先ほどはジェンキンソン側でボールを持った時の概略図を示したが、ギブス側にボールが渡ると状況は変わってくる。

 

今季のアーセナルは4-2-3-1を多用している。エジルのメリットを最大に生かすためにサイドにはイウォビ、ウォルコットチェンバレンといったカウンター時のスピードと守備への貢献が求められてきた。ボール保持攻撃時にはなるべくサイドでプレーし、出し手ではなく受け手になるような動きをしてきた。

しかしこの試合のラムジーはボールに常に関与しようと自分のポジションをほとんど守っていなかった。

 


特に左サイド、ギブス側にボールがあるときは以下のような状態になる。(Fig.5)

 

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Fig.5 ラムジーのポジショニング

具体的には右サイドにはジェンキンソンしかいない状況となる。

この場合バンデルソンは中盤の守備に参加できる。

(疑似的に5-3-2となってるといってもいい)

こういう状況はアーセナルのボール保持攻撃を閉塞させる。もちろんイニエスタが2人いるのであればイニエスタに狭い場所を突貫してもらえば万事解決だが、少なくともアーセナルにそういう選手はいない。

 

簡単に言えば狭い3vs3をやるよりも2vs2のほうがいいでしょ?という理論

 

アーセナルはとにかく相手の守備を崩すのに苦労し、いい状態でクロスを上げることもできていなかった。じゃあなぜアーセナルが前半2点決められたかといえば、ルドゴレツの撤退時の守備があまりにもお粗末だったとしか言いようがない。何度かルドゴレツ陣地の深くまで攻めれたアーセナルのクロス時のルドゴレツの対応を見ていく。

 

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Fig.6 エジルのクロスからG.ジャカのシュートシーン(19min)

ジルーしかエリア内にいないのにルドゴレツの選手はバイタルエリアを全くケアできていない。当然エジルもこういったスペースを見つければ正確なクロスをいれてくる。このスペースをしっかり生かしたG.ジャカは1点を返すことに成功。

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Fig.7 ギブスのクロスからエジルのシュートシーン(40min)

このシーンもほぼ同じ。幸いエジルのシュートはアベルがブロックしたが、そもそも誰かマーク付かなきゃいけないんじゃないの?というシーン。

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Fig.8 ギブスのクロス(47min) 

このシーンでギブスはスペースにクロスを供給することはなかったが、このシーンもエジルがフリーだった。

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Fig.9 A.サンチェスからラムジーのボレー(65min)

 

唯一65分のプレーは守備の人数が足りていないので仕方がないにしてもそれ以外のクロス対応はかなりひどかった。

 

このレベルで戦うにはあまりにもレベル差がありすぎた。

いずれにしても、アーセナルはボール保持攻撃でほとんどチャンスを作れなかったにもかかわらず前半のうちに同点にできたのは非常に大きい。

 

後半からの変更

正直ラムジーは前半で交代すると思ったが、75分までは交代しなかった。

今季の4-2-3-1システムはラムジーにとって非常に酷なシステムで、センターハーフとして使うこともできず、サイドハーフとしても使えないとなると当然出場時間は減っていくだろうという感じ。ラムジーが悪いというよりシステムと絶望的にあっていない。

 


一方のルドレツカは前半よりも前線から守備するようになった。もちろん大半の時間は押し込まれてしまっていたのでプレスする機会はすくなかったが、特に右サイドのジェンキンソンボールを持った時には積極的にプレスするシーンが多くみられた。(Fig.10)

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Fig.10 ジェンキンソンがボールを持った時のルドゴレツのハイプレス

 

ジェンキンソンは試合を通してプレスにうまく対処できていなかった。またラムジーが自由なポジショニングをしていたので、押し込んだ時にも存在感を見せることはできなかった。

守備でもバンデルソンの裏抜けを見過ごしてしまったりしており、ベジェリンからスタメンを奪うことはほぼほぼ無理だろうなという出来だった。

 

ルドゴレツの最終ラインのミス


最終的にエルネニーのロングパスに合わせてエジルが裏抜けして得点したが、このシーンでもオフサイドラインの調整をミスしていたモツィ。(Fig.11)

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Fig.11 エジルの裏抜けシーン(86min)

 


得点直前のシーンでも同じような状況から失点しかかっている。(Fig.12)

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Fig.12 エジルの裏抜けシーン(85min)

 

正直ルドゴレツの守備がお粗末すぎてこの試合もあまり面白くはなかった。戦術レベルで圧勝したうえでの大差なら面白いが、そもそもルドゴレツの最終ラインはミスが多すぎてつまらない。

 

余談

アーセナルパリサンジェルマンと同じくグループリーグ突破が4節にして確定。ただしグループリーグ1位抜けと2位抜けでは全く意味が異なってくるので、アーセナルホームでのパリサンジェルマン戦は非常に期待できるはず。

 

UCL16-17-A4-Basel.vs.PSG

UCL16-17-A4-バーゼルvsパリサンジェルマン

まずはスタメンから


黒がバーゼル、白がパリサンジェルマン(Fig.1)

 

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Fig.1 バーゼルvsパリサンジェルマン

バーゼルはお馴染み4-1-4-1

サイドバックのM.ラングが足首の軽傷のためガベルがスタメンとなっている。

 

パリサンジェルマンも4-3-3

中盤の構成を3節のバーゼル戦と変えており、T.モッタをピボーテヴェラッティマテュイディインサイドハーフに置いている。またオーリエも負傷のためムニエルに変更している。

 

試合の概要

試合は1-2パリサンジェルマンが勝利した。41分にルーカスのファーへのコーナーキックからムニエルがシュートかパスかわからないようなボールをエリア内にいれマテュイディがうまく合わせて先制する。75分にはツフィが35mほどの位置からうったロングシュートが入り、試合を振り出しに戻したが、89分にラビオのクロスからムニエルがエリア外からハーフボレーし、ゴールに吸い込まれた。この試合の後半の2ゴールは間違いなくゴラッソだった。試合としては相変わらずバーゼルの守備に苦労しているような様子があったパリサンジェルマンだったが、均衡を破ってからの後半は前がかりになったバーゼルのスペースをよく突いてチャンスを作り続けていた。

 

バーゼルの守備

バーゼルの守備の基本は第3節と同じで、ディエとデルガドが交互にピストンすることで相手のビルドアップ、ゲームメイクを妨害していた。(Fig.2)

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Fig.2 バーゼルの4-1-4-1システム

この方式についての詳細は前の試合で述べたので割愛するが、とくに前の試合と異なった部分についてみていく。

 

そもそもこのグループにおける第3節と第4節ではチームの事情が全く変わってきている。

3節終了時点での勝ち点はアーセナルパリサンジェルマンが勝ち点7バーゼル、ルドゴレツが勝ち点1という状況である。そのため、第4節で勝ち点差を縮めなければ、すなわち勝利しなければグループステージ突破は事実上不可能となる。したがってバーゼルは第3節とくらべるとよりリスクを負わなければいけない部分もでてくる。

 

バーゼルがとったリスクはサイドハーフをできるだけさげないだった。

メリットは純粋にボール奪取したときにカウンターに関与できる選手を増やせること。

デメリットはSBやCBの負担が増えてしまい失点の可能性が増えること

 

これについては結果論になってしまうが、メリットよりもデメリットのほうが強く出てしまっていた。(Fig.3)

 

 

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Fig.3 パリサンジェルマンのボール保持攻撃の例

 


サイドハーフを高い位置に保つためには最終ラインにより的確な判断が求められる。

例えば6バックになるのであればサイドバックはディマリアとルーカスのマークを行い、サイドハーフサイドバックの動きをみればいい。

しかし4バックのまま守るのであれば、内側に絞ってきたディマリアやルーカスに対してバランタもしくはスヒーが監視しなくてはならない。このときサイドバックのガベルもしくはトラオレはムニエル、クルザバのオーバーラップに備えつつ中央のエリアをケアしなければならない。

 

この判断を間違えればパリサンジェルマンに攻めるスペースができるため、そういった部分を攻めれればパリサンジェルマンはボール保持攻撃成功となる。うまくチャンスにつながることはなかったが、第3節よりもパリサンジェルマンのボール保持攻撃はすこしだけ質があがっていた。

 

バーゼルの攻撃

ここでは守備からのカウンターとボール保持攻撃に分けてみていく

まずはカウンター

正直第3節のようにチャンスを多く作ることはできていなかった。守備システムやシステム遂行能力は確かに高いが、欧州の強豪相手にカウンターで脅威を作るためには最低でも1人はカウンターに優れた選手がいないと厳しい。

 


ディエもデルガドもシュテフェンもビャルナソンもよく走るが、ボールを持った時のプレー精度や個人能力の強さというのはあまりみられなかった。そういう意味ではサイドハーフに素晴らしい個人能力を持つ選手がバーゼルから生まれたらチャンピオンズリーグレベルでも活躍できるチームになると思う。

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Fig.4 左からビャルナソン、S.ディエ、デルガド、シュテフェン

 

ボール保持攻撃

こちらについては3節と同様だが、基本的にパリサンジェルマンのハイプレスをみるとすぐにロングボールを蹴ってしまう。当然これもうまくことはなかった。

 

ロングボールもクルザバ側に蹴ることが多かった。これは純粋にムニエルとクルザバのエアバトル能力を考えた時にクルザバに蹴ったほうが有利になるであろうという計算だったと思うが、クルザバは結構競り勝っていた。したがってほとんど前半のバーゼルの攻撃は無効化されていたといっても過言ではない。守備面では非常に整理されたチームだと思うが、攻撃面ではちょっと物足りない部分も多い。

 

こんな感じで前半のバーゼルのチャンスはわずかに1つのみ。

バーゼルのチャンス

14m20P(34-4-10)Grade4

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク

第3節ではあまりクローズアップしなかったが、パリサンジェルマンはボール保持攻撃では苦労していたもののカウンターの場面では自分たちの色をしっかりと出していた。カウンターアタックの脅威についてはこの試合でも同じことがいえた。一方で前述したようにバーゼルは少しリスクを負った守備を行っていたのでボール保持攻撃からも一定のチャンスを作り出すことはできていた。

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク

15m00P(8-12)Grade4

18m10T(11-6-9)Grade5

19m50T(8-6-14-7-6)Grade4

41m10CK(7-12-14)Goal

 

ルーカスもディマリアもボール保持攻撃においてあまり影響を与えられるような選手ではなかったが、カウンターの場面ではとにかく厄介な選手になる。

一方でボール保持攻撃においては相変わらずヴェラッティの浮き球もしくはマテュイディの裏抜けが基本の形となっていた。

 

チャンス量は決して多くなかったが、41分にムニエルのシュート性のボールをマテュイディがうまくずらして先制する。毎回いっているかもしれないが勝ち越しゴール、特に先制点は非常に重要である。

 

後半の変更

パリサンジェルマンの選手変更

前半のうちにA.アレオラとT.シウバが衝突しT.シウバが負傷したようなので、後半開始からクリホビアクがCBを務めた。

 

特にパリサンジェルマンも後半おしこまれるような展開にもなっていなかったので、この試合でのT.シウバやマルキーニョスとの比較は難しいので割愛する。

 

バーゼルの守備システムの変更


バーゼルは基本的にハイプレスをしないで、相手に気持ちよくボール循環させないような守備をしている。ただし勝つためには最低2点が必要なバーゼルにとってこの守備は守備的すぎる。そのため後半からバーゼルは高い位置からでもプレスを行うようになった。(Fig.5)

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Fig.5 バーゼルのハイプレス

 

結果から言うとバーゼルのハイプレスが連動していたかというと非常に微妙だった。もちろん人数を割いているのでうまくいくこともあったが、躱されてしまえば中盤の広いスペースをただ相手に提供しているだけである。

 

実際ヴェラッティやT.モッタがプレスを受けている選手をサポートすることでバーゼルのプレスを躱すことに成功していたし、あまりうまくいっているとは言えない状況だった。

 

したがって後半のパリサンジェルマンはボール保持した状態でもハイプレスを躱したときには中盤に広いスペースをマテュイディ、ディマリア、ルーカスに提供することができるようになっていた。これに加えて元々のカウンターアタックからのチャンスメイクもあるので後半はパリサンジェルマンが多くのチャンスを作り続けた。

 

https://www.youtube.com/watch?v=HsI64OHjk8I

 

バーゼルのシステム変更

バーゼルは58分にドゥンビア、デルガドをヤンコとツフィに変更した。それぞれ同じポジションで同じ役割をになっていたことから、この交代は前線をフレッシュにする狙いがあったのだと思う。

一方で69分のガベル : RSB⇔シュボラル : FWの変更はより攻撃的にいくよという合図になった。この時のフォーメーションは以下のようになった。(Fig.6)

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Fig.6 バーゼルvsパリサンジェルマン(69min~)

主な変更は4-1-4-1から4-4-2へと変更したこと。T.ジャカがRSBにはいり、ツフィとディエがCHとしてプレーし始めた。

 

実際にこのシステム変更が嵌ったという印象はなかったが、75分のツフィのゴラッソでチームが息を吹き返したのはいうまでもない。それから2度大きなチャンスを作ったバーゼルだったが逆転には至らなかった。

 

ちなみにこのうちひとつはツフィのフリーキックからファーのヤンコが撃ったシーンと、シュボラルがエリア内で倒されたシーンになるが、いずれもムニエルのミスが関与していた。さいわいシュートは外れPKの判定にもならなかったが、その部分についてはパリサンジェルマンはかなりラッキーだった。

 

パリサンジェルマンのチャンス(後半)

46m20T(6-9-11-9-7)Grade5

51m10T(11-6-11-12)Grade4

56m50P(5-12-8-12-11-20-7-9)Grade4

63m00T(11-6-11)Grade5

78m10FK(7)Grade4

80m20T(6-11-7-11-9)Grade4

86m20T(?-22)Grade4

89m00P(11-25-12M)Goal

92m00T(8-9-11)Grade5

 

後半のチャンスの数は前半の倍以上。質も高かったにも関わらず、後半のゴールは89分まで待たなければならなかった。1ついえることはカバーニの決定力がやっぱり物足りないということ。しかしバーゼルの守護神バツリークの存在はこのグループの相手チームを常に悩ませてきたのも非常に大きい

 

この試合に限らず、アーセナルパリサンジェルマンに作られた決定機で毎試合のようにかなりセーブしているのはもはや調子の良いレベルを超えている気がする。

現在27歳だがもしかしたら4大リーグで今後活躍する機会があるかもしれない。

ちなみに足元の技術についてはそこまでなく、特にミドルレンジ以上のパスの精度は低いが、単純なシュートストップ能力が高い。

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Fig.7 バツリーク

 

余談

この試合が終わった時点でバーゼルの決勝トーナメント進出の可能性は消え、パリサンジェルマンは突破が確定した。ただしチャンピオンズリーグはグループリーグで3位以内にはいればヨーロッパリーグの決勝トーナメントに回れるので、ここから一気に手を抜き始めるということはないだろう。

 

UCL16-17-A3-PSG.vs.Basel

UCL16-17-A3-パリサンジェルマンvsバーゼル

まずはスタメンから

 
   

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青がパリサンジェルマン、白がバーゼル(Fig.1)

Fig.1 パリサンジェルマンvsバーゼル

 

パリサンジェルマンはいつも通りの4-3-3

LSBをクルザバにする以外の大幅な変更はなし。

 

バーゼルアーセナル戦で大火傷した5-3-2ではなく、4-1-4-1に変更。

おそらくこの形がバーゼルの基本形。ディエとデルガドがこの試合におけるキーマンとなった。

 

試合の概要

試合は3-0パリサンジェルマンが勝利する。40分にマテュイディのクロスからディマリアが先制した。62分にオーリエのクロスをスヒーがクリアミスしてしまいルーカスがこぼれ球を押し込む。93分にM.ラングがカバーニを倒してしまいPKとなる。これをカバーニが決めて3点差とした。試合結果からは、パリサンジェルマンの圧勝のようにもみえるが試合自体はバーゼルの守備に終始苦労していた。またバーゼルは3パリサンジェルマンのゴールバーを叩いていたことからもチャンスはしっかり作っていた。

 

パリサンジェルマンのビルドアップ、バーゼルの守備

 

バーゼルは敗北したが、この試合に対するバーゼルの姿勢は間違いなく正しかった。

 
   

 


その大部分はバーゼルの守備システムをみればよく理解できる。(Fig.2)

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Fig.2 バーゼルの守備その1

バーゼルの守備の基本形は4-1-4-1で、

ドゥンビアがヴェラッティ(中央にいる場合のみ)

ビャルナソン、シュテフェンがクルザバ、オーリエ

ディエ、デルガドマテュイディ、ラビオを監視する形となっている。

 

ヴェラッティが中央以外、すなわちラビオが中盤の底、ヴェラッティインサイドハーフというパターンもあったがそのパターンについては後述する。

 

 

 

当然これだけではCBは容易にドライブすることができてしまうため、Fig.2のようにT.シウバがドライブしてきたときには守備の形を変えて対処する(Fig.3)

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Fig.3 バーゼルの守備その3

T.シウバがドライブしてきた場合にはディエを1列目にし、T.ジャカがディエが担当していたスペースを埋めるという動きをおこなう。逆についても同様で、マルキーニョスがドライブしてきた際にはデルガドが1列目にあがるという方式を採用していた。

 

 
   


結果から言うとこの守備はとてもうまくいっていた。とにかくディエとデルガド(Fig.4)が1列目に上がるタイミングと中盤の選手がマークチェンジを行うタイミングがぴったりで、なかなかパリサンジェルマンの選手たちはパスコースを見つけることができないでいた。

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Fig.4 S.ディエ(左)、デルガド(右)

パリサンジェルマンの狙い(Fig.5,6)


図はマルキーニョス側からT.シウバ側にボールが移った時のバーゼルのマークチェンジの様子を示している

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Fig.5 パリサンジェルマンのゲームメイク(5m23)

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Fig.6 パリサンジェルマンのゲームメイク(5m26)

 

Fig.5ではマルキーニョスへの牽制のためにデルガドが出ていたが、T.シウバがボールを持つとディエが牽制をかけることになる。

 

このマークチェンジのときに生じるスペースを生かせばパリサンジェルマンはうまくボールをすすめることができそうだということがわかる。実際に何度かパリサンジェルマンはこの形でラビオ、マテュイディにボールを供給したが、T.ジャカもすぐに寄せてきてしまうため効果的なチャンスメイクになることはなかった。

 

ほかにもラビオが中盤の底に移動しヴェラッティインサイドハーフの位置でプレーすることもあったが、ヴェラッティに対してはより自由を与えないようにしており、ヴェラッティが効果的なプレーができない状態となっていた。

 

こうなった時のパリサンジェルマンヴェラッティがひたすら裏に浮き球を供給するのが鉄則のようになってるが、これはほとんど効果的ではなかった。

 

実際にボール支配率はパリサンジェルマンが65%、バーゼルが35%だったが、

ボールポジション(ボールの平均位置)はパリサンジェルマン側が48%、バーゼル側が52%となっていた。

 

さらにファイナルサードへのパスをみても押し込んでるような形ではなく最終ラインの裏に出すような縦パスが多いことがわかる。Fig.7

 

 
   


(バイエルンバルセロナのようなボール保持攻撃に強みを持つチームの場合はもっと横パスの数が多くなる)

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Fig.7 パリサンジェルマンファイナルサードへのパス

 

こんなかんじでバーゼルは押し込まれてないときはかなり優れた守備を行っていたと思う。

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク、バーゼルの撤退守備

 
   


前述のようにパリサンジェルマンはほとんど効率よく前に進めていなかったが、ロングボールを通して前半のうちに数回だけ相手を押し込むことができた。この時のバーゼルの守備の形は6-3-1。(Fig.8)

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Fig.8 バーゼルの撤退守備

バーゼルは撤退した時にサイドハーフのシュテフェンとビャルナソンが最終ラインに落ちて6バックのようになっていた。これでワイドな動きを十分にカバーしようというのがバーゼルの狙いだったと思うが、前半40分にミスがでてしまった。

ラビオのスルーパスに抜け出したマテュイディはそのままクロスを放り込みディマリアが先制点をあげた。

 

この一連の得点シーンにおけるマテュイディの裏抜けはバーゼルにとって悔やんでも悔やみきれないミスとなってしまった。(Fig.9)

 

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Fig.9 パリサンジェルマンの得点シーン。

 

このタイミングではシュテフェンとビャルナソンのサイドがチェンジしてるがそこはあまり重要ではない。本来シュテフェンはマテュイディの裏抜けにしっかりついていかなくてはならないが、この時点で完璧にマークを外してしまっている。

 

やっぱり守備が本職ではない選手に最終ラインのワイドな位置を守らせるのは結構酷だと思う。

 

バーゼルのミスからだったが、マテュイディの裏抜けスキルはこういった均衡状態を破る本当に重要な武器であるし、ラビオのスルーパスも素晴らしかった。

 

前半のバーゼルは撤退守備のこのミス以外はほぼ完璧で、パリサンジェルマンにとってはボール保持攻撃でつくった最初のチャンスとなったがそれがゴールにつながったという意味では幸運だったといえる。

 

パリサンジェルマンのチャンス

29m40T(7-6-7-11)Grade4

35m30T(20-9-25-7-25M)Grade4

39m00P(20-14-20-25-14-9-11)Goal

46m40FK(11-9)Grade4

61m00T(9)Grade5

61m20P(6-7-14-19-7)Goal

90m00T(21-6-19-6-22)Grade5

92m10PK(9)Goal

 

バーゼルのチャンスメイク

バーゼルはボール奪取してからすぐにボールを前に運ぼうとしていた。カウンターという形でチャンスをつくることはなく、チャンスの数は多くなかったがなぜかチャンスの質は高かった。

バーゼルのチャンス

4m40CK(10-8-5)Grade5

9m50P(8-88-11)Grade5

10m00P(88)Grade5

35m10P(17-6-5-10-88)Grade5

65m00FK(10-17)Grade5

 

このうち4分のコーナーキックからのM.ラングのヘディング、35分のデルガドのクロスからのドゥンビアのヘディング、65分のデルガドのクロスからスヒーのヘディングはすべてポスト直撃の大チャンスだった。ほかの2つはGK : アレオラのナイスセーブだった。

 

これで1点も入らないのはあまりにも不条理すぎた。特に前半だけで4回作ったチャンスのうち1つでもきまっていればこの試合は分からなかったと思う。

 


パリサンジェルマンの中盤 : マテュイディ、ラビオ、クリホビアク、ヴェラッティ

 

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とにかくラビオが21歳だということが信じられない。成長が限りなくうまくいったフェライニのような印象。

大きな強みは体の大きさを生かしたフィジカル能力だが、カウンター時にも駆け上がれるだけの基本的なスピードを持っているし、スピードに乗った状態でもパス精度も判断もあまり落ちない。守備もちゃんとしてくれる。等この試合での印象はとてもよかった。

 

大きな怪我がなければまちがいなく世界最高の中盤になれるだけの素質を持っていると思う。

 

クリホビアクほどの選手がなぜ試合にでれないか結構考えてみたところ、この試合で少しわかってきた。ひとつはクリホビアクは2センターでプレーする機会が多く、多分3センターの底でプレーする機会はあまりなかったのだと思う。

2センターをトップレベルでこなすには守備のためのフィジカル、ビルドアップ能力(3センターに比べてロングボール能力も多分必要)、攻め上がるタイミングと運動量などバランスがとれた選手が求められるの。

 

3センターはいくらか分業できる。ピボーテは守備力とビルドアップ能力が必要でなによりも安定感があるとよく、攻め上がるためのダイナミックなプレーは必要ない。(ブスケッツ、X.アロンソ等)

一方でインサイドハーフにはヴェラッティのようなパス能力、マテュイディのようなダイナミックな動き出しといったより攻撃のスキルが求められる。

 

クリホビアクはボールを刈りに行くのが守備のプレースタイルだが、インサイドハーフを務められるような攻撃能力はない。しかしピボーテで使うにはリスキーなプレーもまだ多いように感じる。T.モッタは確実に総合力だけでいえばクリホビアクに負けているが、ピボーテとしてはクリホビアクよりは適任といえる。

 

もちろん来シーズン以降クリホビアクがフィットしていく可能性はあると思うが、ラビオの台頭は状況を難しくしてしまうかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=nbaSCd2BPTE

 

 

UCL16-17-A3-アーセナル.vs.ルドゴレツ

UCL16-17-A3-アーセナルvsルドゴレツ

まずはスタメンから

赤がアーセナルで緑がルドゴレツ(Fig.1)

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Fig.1 アーセナルvsルドゴレツ

アーセナルはいつも通りの4-2-3-1

サイドバックモンレアルからギブスに、2センターをコクラン、S.カソルラなどマイナーチェンジはしているが基本の形に変化はない。

 

ルドゴレツもパリサンジェルマン戦と同じ4-4-2。

チームの色は守備からのロングカウンター

 

試合の概要

試合はアーセナルが6-0で勝利する。13分にA.サンチェスの素晴らしいループシュートで先制後、42分にウォルコットミドルシュート、47分にギブスのクロスをチェンバレンが押し込み、56分、83分、87分にエジルが決めた。アーセナルはボールを保持した状態でもある程度のチャンスを作っていたが、ハーフラインからボールを奪取し上手くカウンターにつなげていた。

 

 

1アーセナルのビルドアップ、ゲームメイク

アーセナルのビルドアップ

パリサンジェルマン戦でもそうだったように、ルドゴレツは前線から積極的にプレスをかけることはほとんどない。したがってアーセナルは簡単にハーフラインまでボールを運べた。

アーセナルのゲームメイク

 
   


パリサンジェルマンはルドゴレツの4-4-2に前半少し苦戦していた。アーセナルも序盤は苦労していたが、セオリー通りに崩すことで大きなチャンスは作れないものの小さなチャンスを作り続けた。(Fig.2)

 

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Fig.2 アーセナルのゲームメイク

基本的に4-4-2は結構難しい。例えば2列目のサイドの選手がSB、3列目のサイドの選手がSHをマンマーク気味に監視した場合、中央のCH、CBはかなり多くの状況に対応しなければならなくなる。つまり全体の運動量といわゆるライン間に浮いてきた選手を誰がマークするのか?といった部分で問題が生じやすい。

 

しかもエジルはライン間でボールを受けるのがとてもうまい。たとえばFig.2のようにコクランからの縦パスをエジルが受け、チェンバレン、ギブス、エジルでサイドを攻略する。

もちろんこういった状態でのクロスは得点につながりにくいが、中央を無理やり崩そうとするよりかはリスクも小さく、得点の可能性はいくらかある。

 


ほかにもエジルをデコイとしてA.サンチェスにチャンスメイクさせたりしていた。(Fig.3)

 

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Fig.3 A.サンチェスのチャンスメイク

 

このようにA.サンチェスはFalse9のようにも振る舞えるため、エジル以外を経由して攻撃することも可能にした。

ここらへんのボール保持時の攻撃のパターンは、同じ組のパリサンジェルマンと比べると大分アーセナルのほうが上だなと思った。

 

ルドゴレツのビルドアップ、ゲームメイク、アーセナルの守備

最初にアーセナルのボール保持攻撃について確認したが、そもそもアーセナルは保持した状態での得点にあまりこだわっていなかった。むしろ相手にボールを保持させてできたスペースをカウンターで潰そうという狙いが見えた。

これは全体のスタッツにも表れていて、前半のボール保持率はアーセナルが45%、ルドゴレツが55%。しかしボールポジション(試合中のボールの位置)はアーセナル側が54%、ルドゴレツ側が46%となっている。

すなわち、ルドゴレツがボールを保持する機会は多いものの、前に進めていないということがわかる。

 

ルドゴレツのゴールキックおよび最終ラインからのビルドアップに対してアーセナルは強者のチームらしくハイプレスで対抗する

 


まずはルドゴレツのゴールキックの時の対応(Fig.4)

 

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Fig.4 ルドゴレツのゴールキックに対するアーセナルの対応

基本的にかなり高い位置から4人でプレスをかけていく。このような状態でもGKのストヤノフはロングボールを蹴ることがあまりなかった。しかしこのような場面でモツィがボールをもってもやれることは限られている。そもそもルドゴレツはアーセナルを躱し切るだけのテクニックを持っていないので、ゴールキックスタートの組み立ては非常に苦労していたといっていい。

 


一方で最終ラインからのビルドアップ(Fig.5)

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Fig.5 アーセナルのハイプレス

 

正直こういったハイプレスはどのチームにとっても厳しい。実際にルドゴレツはアーセナルのハイプレスハイラインに対してほとんど解決策を見出していなかった。

 

ハイプレスをされた時のもっとも効果的な解決方法はショートパスでプレスを躱し切るだが、ルドゴレツにはそれができなかった。ならばロングボールを前線に蹴るしかないが、ルドゴレツはロングボールを蹴るチームの構成ではない。

 

というのもルドゴレツの前線の4人はスピードに特化した選手のみで構成されており、いわゆるロングボールの受け皿になってくれるような選手がいない。

具体的には

J.カフー : 173cm, 64kg

マルセリーニョ : 166cn, 65kg

ミシジャン : 173cm, 70kg

バンデルソン : 167cm, 61kg

もちろんテベスのように身長は低いがフィジカルが半端ない選手もいるが、少なくともルドゴレツの前線に特別ロングボールの受け皿になれる選手はいなかった。

こういった事実もあって、ルドゴレツはなるべくならつないでボールを運んでいきたいという感じがあった。当然アーセナルのハイプレスを躱すことはできずにこの試合はアーセナルのカウンターの嵐となる。

 

アーセナルのチャンスメイク

1点目はまさに相手の攻撃をギブス、ムスタフィがボールを奪取した後のカウンターアタックから生まれた。ムスタフィからチェンバレンA.サンチェスとつないで、A.サンチェスが完璧なループシュートで先制した。ボール奪取してから10秒かかってないカウンターはルドゴレツにとって脅威そのものだった。

ちなみにこのシーンでもオフサイドトラップをかけようとするモツィとラインの位置を上げようとしないパロミノというパリサンジェルマンでの失点時と同じようなチグハグさが見られた。

 

先制点を得てからのアーセナルは少しペースを落としつつ、ボール保持攻撃、カウンターアタックから追加点に迫ろうとした。前半の序盤ほどのチャンスはなかったが、ウォルコットがエリア外からのミドルシュートを決めて2点差とした。どんなレベルのチーム同士の試合でも1点差ならもしかしたらなにかが起きるかもしれないが、正直このレベル差での2点は非常に重い。逆にいえばアーセナルはあまり苦労せずに2点とれたことで後半非常に楽になった。

 

アーセナルのチャンス(前半)

8m30P(11-15-7-14)Grade4

11m30T(20-15-7)Goal

25m40P(19-14-11) Grade4

27m40P(24-6-34-7-15) Grade5

33m50T(34-14) Grade5

41m10P(15-11-14M)Goal

44m40P(11-15-7) Grade5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルドゴレツのチャンスメイク

アーセナルはここまでみると完璧なようにも見えたが不安な部分もあった。


アーセナルは展開するサッカーの都合上オフサイドラインをかなり高い位置に設定している。だからこそ前線からアグレッシブにボールを奪取していたわけだが、最終ラインの裏に出してくるようなパスの対処はより厳しくなってしまう。(Fig.6)

 

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Fig.6 アーセナルのハイラインのデメリット

 

もちろんほとんどはコシールニー、ムスタフィがきちんと対処していたが、やっぱり試合中に1,2回は裏を抜けられてしまうことが多いアーセナル

 

強豪相手にも同じような戦術で臨んでいく場合には、こういったミスがより命取りになる可能性がある。

 

後半戦

正直2点差がついた時点でこの試合はほぼ終了している。実際ルドゴレツの選手にできることはほとんどなかったし、前半同様アーセナルがボール保持とカウンターからチャンスをつくった。よりルドゴレツは攻める必要があったこと、後半ルドゴレツの戻りが遅くなったためアーセナルにとってより簡単なゲームになった。

 

 

 

 

 

アーセナルのチャンス

45m50P(15-3-15)Goal

46m40P(11-14-7-14) Grade4

47m00CK(11-20-11-19-20-6) Grade4

55m10T(6-19-11)Goal

57m30P35-24-35-34-14) Grade4

65m50T(34-11-7) Grade4

67m00P(3-11-34-15-11-7-15) Grade5

70m40T(11-15-9) Grade4

81m40T(17-15-9-11)Goal

86m20P(24-9-11)Goal

87m40T(11-9-11) Grade4

90m40P(35-15-11-15-24M) Grade4

 


まあこれだけチャンスがあったらこれだけ点差がついてもおかしくないというゲーム内容になった。

 

♢がインターセプト

+がボールリカバリ

☆が1on1(自分がボールを持ってるとき)

×がタックル

^がエアバトル

を示している。緑が勝利、オレンジが敗北

 

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Fig.7 コクランのスタッツ

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Fig.8 S.カソルラのスタッツ

 

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Fig.9 チェンバレンのスタッツ

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Fig.10 ウォルコットのスタッツ

 

このなかだと中盤のコクランの守備貢献度が一番目立っていたが、ウォルコット、S.カソルラチェンバレンともに攻撃面で大きく貢献していた。

 

余談

ルドゴレツは残り3試合で全勝しなければ突破はほぼ不可能となった。逆にアーセナルはあと1勝で突破確定となる。

 

あまり見所のない試合だった。

UCL16-17-A2-ルドゴレツ.vs.パリ・サンジェルマン

UCL16-17-A2-ルドゴレツvsパリサンジェルマン

まずはスタメンから


緑がルドゴレツ、白がパリサンジェルマン(Fig.1)

 

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Fig.1 ルドゴレツvsパリサンジェルマン

 

ルドゴレツは4-4-2。試合をみたことはないがチャンピオンズリーグを通して4-4-2であったことからおそらく従来通りのフォーメーションなのだと思う。

 

パリサンジェルマンは4-1-4-1。アーセナル戦と最も異なる部分はマテュイディインサイドハーフでプレーし、ルーカスがウイングでプレーしていること。

試合の概要

試合は1-3でパリサンジェルマンが勝利する。先制点は14分にナタエナウからの直接FKによって生まれた。しかし40分ヴェラッティのスルーパスからマテュイディが決めて同点にすると、

 

 

 

 

 

パリサンジェルマンのビルドアップ、ゲームメイク、ルドゴレツの守備

ルドゴレツの先制点


ルドゴレツは前半かなり守備に重きを置いていた。というのも14分にナタエナウが直接FKを決めたからである。(Fig.2)

 

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Fig.2 ナタエナウのFKによるゴールーシーン

 

FKもたしかによかったが、壁であるカバーニが避けてしまったのがきつかった。どんな形にしてもルドゴレツは先制することに成功した。ルドゴレツというチームは2014-2015のUCLが初出場でその時はレアルマドリーバーゼルリバプールと同組で勝ち点1で敗退しているチームである。もともとUCLレベルで地力を発揮できるほど能力があるチームでもないので、こういった先制点を守り抜くことが非常に重要となる。

 

こういった経緯があったため、失点するまでのルドゴレツは自陣に引きこもることになる。

 

パリサンジェルマンのビルドアップ

ルドゴレツの守備は4-4-2だが、前線から積極的にプレスをかけるチームではない。したがってパリサンジェルマンはハーフライン付近までは簡単にボールを運べた。

 

パリサンジェルマンのゲームメイク

ここからルドゴレツの守備が始まる。ルドゴレツの狙いはとにかく中央を崩されないように守るだった。(Fig.3)

 

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Fig.3 ルドゴレツのハーフライン付近の守備

 

ルドゴレツの守備の約束事は以下の通りである

マルセリーリョとJ.カフーアベル、ディアコフはゾーンを守る。

一方でSHのバンデルソンとミンジャンはSBの位置に忠実にあわせて動く。

 

したがって大げさに言えば6-2-2のようになっているときもあった。この時ヴェラッティマテュイディがフリーになってしまうが、この位置からヴェラッティマテュイディが出し手になる分には特に問題ではないと考えていたようだった。

 

この形だとルドゴレツがボール奪取できるようには設計されていないため、パリサンジェルマンが次第に押し込むことになるが時間稼ぎとしてはありなのかなという印象だった。

 

ルドゴレツは押し込まれると4-4-2から6-3-1へと変化する。(Fig.4)

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Fig.4 ルドゴレツの守備(押し込まれた時)

 

2トップのうちJ.カフーを中盤に落とすことでマテュイディヴェラッティに当たれるようにしている。正確に言えばヴェラッティアベルがプレスかけはじめたらJ.カフーが落ちるといった方が正しいかもしれないが。

 

この形にしてもルドゴレツはボールの回収点を決めていなかった。もちろんパリサンジェルマンとしてはここまでバスを停められてしまうとスペースを探すのがかなり難しかったことは否めない。

 

こうなった時はヴェラッティが最終ラインの裏にスルーパスを出すことがほぼ唯一の攻略法だったが、裏抜けするスペースもかぎられていたため、あまり効果的ではなかった。

 

ルドゴレツのロングカウンター

逆に回数はそれほど多くなかったが、ルドゴレツは何回か自陣から3,4人のロングスプリントを生かしてロングカウンターを仕掛ける場面もあった。

実際同じレベルのチーム同士の試合でルドゴレツが行ったようなロングカウンターが発生したらパリサンジェルマンにとってかなり致命傷だった可能性は高いが、フィジカル的にもテクニック的にも劣っていたルドゴレツのカウンターはうまくいかなかった。

 

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク

パリサンジェルマンのチャンス

5m00P(5-11-7-9M)Grade4

11m00P(14-8-6-11)offside

28m10P(5-8-6-8-7M)Grade4

39m50P(6-17-8-6-14)Goal

 

前述のようにパリサンジェルマンはほとんどうまく攻めれていなかった。サイド深くまで攻め込んだとしても6バック相手に効果的なクロスを上げることは難しい。ペナルティエリアの外からミドルシュートを撃つことも多かったが、ゴールが決まることはなかった。

(ミドルシュートに関してはディマリアもルーカスも結構フリーで打ててたので決まる日だったら何の問題もなく決まってた可能性は高い)

 

しかしルドゴレツも守備の時間が長くなるとミスもかならずでてくる。

40分のヴェラッティのスルーパスに反応したマテュイディのゴールもまさにそういった部分があった。(Fig.5)

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Fig.5 パリサンジェルマンの得点シーン

 

オフサイドトラップをしかけたモツィとそのまま残ってしまったパロミノ。正直チーム戦術がわからないのとオフサイドトラップをこういった場合仕掛けるのが正しいのかよくわからないが、少なくとも2人のCBが違った対応をしてしまってることはミスといえる。

 

パリサンジェルマンとしては前半ほとんど効果的なチャンスを作れていなかったので、この得点は非常に重要なターニングポイントになった。

 

ルドゴレツのビルドアップ、パリサンジェルマンの前線守備

一方でルドゴレツについては非常に単純だった。というのもほとんど押し込められた状態からビルドアップを開始することが多かったので、大部分はロングボールを蹴って陣地回復が精一杯という感じだった。

 


また、ルドゴレツの最終ラインが十分にボールが持てるときでもパリサンジェルマンは前線からしっかりとプレスを行っていた。(Fig.6)

 

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Fig.6 パリサンジェルマンの前線守備

 

仕組みは簡単で、

まずはカバーニがプレスをCBの片方にかける。

そのごボールサイドのルーカスまたはディマリアがプレス

CHはヴェラッティマテュイディが監視

落ちてくるSHにはオーリエもしくはマクスウェルがそのままマンマーク

 

これだけで簡単にルドゴレツは簡単にボールを手放してしまう。基本的に前線に確率の低いロングボールを蹴ることが多かったが、ルドゴレツの前線もロングボールに滅法強いCFというわけではなさそうだったので仕方がない。

 

またゴールキック時にも高い位置に3人の選手を配置することでボール保持できないような環境を作った。(Fig.7)

 

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Fig.7 ルドゴレツのゴールキック時のパリサンジェルマンの対応

パリサンジェルマンの前線からの守備はかなり統率がとれていたが、そもそもルドゴレツも先制しているためリスクを伴うようなボール保持はしたくないという雰囲気があり、パリサンジェルマンもボール奪取→カウンターアタックときれいにつながることもあまりなかった。

 

パリサンジェルマンの攻撃が停滞してしまった理由

1戦目のアーセナル戦を見てからだと信じられなかったが、2016年の11~12月にかけてエメリのことを解任したがっているサポーターが多かったらしい。おそらくこの試合と似たようなことがリーグアンでも起きているのだと思う。

つまり、パリサンジェルマン相手に正面から殴り合う必要ないというのが、リーグアンのチームの共通解になってるんじゃないかと思う。(もしかしたら全く違うのかもしれない)

 

いままではイブラヒモビッチがいたから強引に攻撃できた部分も多く、ボール保持した状態でもある程度攻撃が機能したはず。イブラヒモビッチの1トップでもカバーニと2トップにできるという攻撃の幅の広さも影響しているかもしれない。

 

また、エメリ監督自身も守備を基本軸に置いている監督でボール保持攻撃に関してはあまり改善させるのが得意な監督ではないのかもしれない。

後半の試合展開

後半に入る前に

そもそもUCLのグループリーグはホーム&アウェイの計6試合でグループ2位までが決勝トーナメントに進める。最大獲得勝ち点数は18だが、勝ち点10を獲得すればほぼ確実に突破できるといわれている。しかし勝ち点8や7では突破できないこともある。いずれにしても最低2勝しないと突破は危うくなる。

 

したがってEURO2016のように勝ち点1でいいという試合ももちろんあるが、勝ちにいかなければならない試合を作らなければならない。少なくともルドゴレツ側はこの試合を勝ちにいく試合と認識していた。

したがって後半は前半に比べてオープンな試合展開となった。

つまり、ルドゴレツはある程度ボールを保持し、前線からも守備を行うようになったということ。これはパリサンジェルマンにとっても好都合な展開であり、ハイプレスからのカウンターアタックや、ボールを保持した状態での攻撃もスムーズにいくようになってきていた。

 

試合がオープンになればなるほど両者が得点する可能性は増えていくが、その分両チームの戦力差がチャンスの量と質にはっきり表れるようになってしまう。すなわちパリサンジェルマンが一方的にチャンスを作り続ける展開に後半はなってしまった。

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク(後半)

勝ち越しゴールがきまるのは時間の問題だったが、55分に得たディマリアのFKにカバーニが合わせて2点目を決めた。


このシーンに関してもルドゴレツのミスは致命的だった。(Fig.8,9)

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Fig.8 パリサンジェルマンのFK(50min)

 

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Fig.9 パリサンジェルマンのFK(55min)

 

 

実は50分にもパリサンジェルマンは近い位置からFKを得ているが、なぜかこの時もカバーニのランをだれも見ていない状況になっていた。幸いこのときはファーサイドに蹴っていたので問題が表面化することはなかった。

 

しかし55分のFKでも同じようにカバーニにフリーで走られ、ディマリアも完璧なエリアにクロスを供給し、ゴールが決まった。非常に簡単な形で2失点してしまったルドゴレツ。

 

ルドゴレツのPK

しかし、その直後ルドゴレツもマルセリーニョ、ミンジャンのコンビネーションで右サイドを攻略し、ミンジャンからのクロスをオーリエがクリアし損ねるとエリア内にいたマルセリーニョがこぼれ球を拾い、T.モッタのファールを誘発し、PKを獲得した。

 

この時のキッカーはモツィだったが、PKはアレオラにストップされた。明らかに挙動がおかしかったので緊張していたんだと思う。

 

最大のピンチを脱出したパリサンジェルマンはその直後マルキーニョスのロングボールに反応したルーカスがクロスで折り返し、カバーニがしっかり決めてスコアを1-3とした。

ルドゴレツは得点チャンスについてはPK失敗、失点シーンではライン調整ミスやマークミスなど大事な場面でのミスが目立った。

 

パリサンジェルマンのチャンスメイク

48m30T(14-11-6-11M)Grade4

50m40T(14-9-11)Grade5

51m10P(14-17-14-11)Grade4

54m50FK(11-9)Goal

60m40P(5-7-9)Goal

62m10P(8-6-14-11-14-7-9)Grade4

66m20T(8-6-8-11-9-14)Grade5

78m10FK(11)Grade4

90m00T(36-7-19-36-19)Grade5

 

ルドゴレツには直接FKからのゴール、少ないチャンスの中でのPKなど運はあった試合だと思う。しかしうまく勝ち点に結びつけることができなかった。

 

 

余談

パリサンジェルマンは自分たちの土俵(守備からのカウンター)で戦えれば欧州でもトップクラスに位置すると思う。ただし自分たちの土俵にもってくるまでのプロセスが確立していないのが今季の弱点かもしれない。