UCL16/17-F1- レギアワルシャワ.vs.ドルトムント
UCL16/17-F1- LegiaWarszawa.vs.Dortmund
まずはスタメンから
白がレギアワルシャワ、黄がドルトムント(Fig.1)
レギアワルシャワは4-1-4-1
ポーランドの名門であるためポーランド籍の選手が多いが、ポーランド代表として活躍している選手はヨドウォビエツ、パズダンのみ。
ドルトムントは4-1-4-1
ヴァイグルを中盤の底、R.ゲレイロをISH、O.デンベレとプリシッチをSHと若返りを図っている。若返りを図る中でチームのバランスを崩してしまい没落してしまうチームも多い中、ドルトムントはうまく若手の発掘とチームのバランスを整えていると思う。
試合の概要
試合は0-6でドルトムントが勝利する。7分にO.デンベレからのクロスをゲッツェがヘディングで先制すると、15分にはR.ゲレイロからのFKにパパスタドプロスがヘディング、17分にはまたもR.ゲレイロからのFKのこぼれ球をバルトがが押し込み3点目を決めた。51分にはO.デンベレのエリア内での仕掛けからのこぼれ球をR.ゲレイロがうまく流し込み、75分にはE.モルのカットインからのプリシッチのクロスをカストロが決め、最後は87分にカストロからのスルーパスをオーバメヤンが決めて0-6とした。試合は終始ドルトムントが支配しており結果もうまく反映されていたと思う。レギアワルシャワは今まで見てきたチームの中でも最低クラスの守備レベルだった。
正直に言ってこの試合が一方的になるきっかけを作ったのは、レギアワルシャワの中途半端な守備だったとみて間違いないだろう。レギアワルシャワの前線守備は4-1-4-1⇔4-4-1-1の可変守備であり、ドルトムントのビルドアップは4-1-4-1で行われた。(Fig.2)
Fig.2 ドルトムントのビルドアップ
レギアワルシャワの守備の約束事は以下のとおりである。
・プリヨビッチがボールサイドのCBにプレス
・ボールサイドから遠い方のISHがヴァイグルを監視
・その際オジジャが空いたスペースをカバー
・ランギル、カザイシュベリはSBを監視
いわゆるオーソドックスな前線守備でもあるが、対ドルトムントを意識した守備とは到底言えなかった。
ドルトムントの特徴としてCBのバルトラとパパスタドプロスはビルドアップ時にかなりボールを運ぶことができ、ヴァイグルも同様の役目を担うことができる。このためドルトムントのビルドアップを壊すためには少なくとも2.5~3人は必要であり、2vs3の前線守備であれば必ずハーフラインまでドルトムントはボールを運んでくる。
例えばFig.2のような状態の時バルトラは躊躇することなくドライブし、ヨドウォビエツがヴァイグルをマークから離したらその後の展開はヴァイグルに任せるといった感じで完全に前線守備に対応していた。
ドルトムントのゲームメイク
ビルドアップを難なく終えると次はゲームメイクの段階でドルトムントのISHの2人の存在感が増してくる。特にR.ゲレイロはこの試合がドルトムントでの初スタメンとは思えないほど素晴らしかった。
Fig.3 ドルトムントのビルドアップ-ゲームメイク
Fig.3のような状態の時R.ゲレイロはスペースがないことも多かったが、得意のターンとドリブルで前に進めるだけのテクニックを備えていた。多分レギアワルシャワはドルトムントのビルドアップ妨害に変なリソースを使うよりも自陣のスペース管理をしっかり行った方が良かったと思うが、この試合のヴァイグル、R.ゲレイロ、ゲッツェの関係はレギアワルシャワの中盤の守備を完全に壊した。
ドルトムントのチャンスメイク
04m10T(22-25-22-17offside)Grade4
05m40P(26-5-33-13-10-22)Grade5
06m00P(26-33-29-7-10)Goal
10m40T(5-22-17)Grade5
10m50P(7-29-7-17)Grade4
14m50FK-P(13-25)Goal
16m40FK-P(13M)Grade5
16m40P(13M-17)Grade5
16m40P(17-29)Grade5
16m40P(29-5)Goal
19m20P(5-10-13-10-7-29-33-7)Grade4
19m40P(7-10)Grade5
22m10P(5-13-7M)Grade4
25m00T(10-22)Grade4
25m30T(22-10-13-33-7)Grade4
25m50T(29-7-10-13)Grade4
27m00CK-P(10-7-17-26)Grade4
28m10P(33-5-17-5-13-17M)Grade4
29m20T(17-22)Grade4
30m20FK-T(13-25)Grade5
33m20P(26-13-26-22-26-33-10-10)Grade5
38m00P(25-17)Grade5
38m50P(5-29-13-7-13-10-7M)Grade4
41m00P(26-17)Grade4
43m10P(26-33-29-13-7)Grade4
44m30P(5-33-7-22)Grade4
45m20T(33-17-22)Grade4
47m10P(1-26-13-22-10-7)Grade4
47m40CK-P(7-10-13-22-10-7)Grade4
50m40P(26-17-22-17-7)Grade5
50m50P(7-13)Goal
56m00P(33-26-22-26-10)Grade5
58m00P(25-33-13-7-10)Grade5
59m40T(10-17-25-7)Grade4
63m00P(7-25)Grade4
64m20T(13-17-22)Grade5
68m10P(29-33-25-22-17)Grade4
75m20T(9-22-27)Goal
85m50P(26-27-17)Goal
攻撃に関しては終始最高のパフォーマンスだったといっていいだろう。6ゴール奪うだけのチャンスは作っていたし、レギアワルシャワのディフェンダーがエリア内でシュートをブロックできていなければもっと点差がついてもおかしくなかった。前半のチャンスは、上述のように中途半端な前線守備からR.ゲレイロ、ゲッツェに自由にプレーさせてしまったのが大きな要因だが、点差が付き始めてからレギアワルシャワはさらに人数をかけてビルドアップを壊そうとするシーンも目立ってきた。
当然人数をかけられればドルトムントもビルドアップしづらくなりロングボールに逃げる場面も増えていった。ただしハイプレスに人数をかけるということは最終ラインはカバーするエリアが増えて負担が大きくなる。こうなった時にレギアワルシャワのCBはオーバメヤンのスピードに全く対応することができておらず前線守備の強度を上げてもあまり意味がないことを露呈してしまっていた。
ドルトムントはレギアワルシャワを押し込んだ時、プリシッチとO.デンベレをサイラインまで開かせることが多く、中盤のパス回しをシュメルツァー、ヴァイグル、ピスチェクの3人で行うことが多かった。これによってボール奪取された時もSBが即ケアできるような体勢を作っていた。ここらへんはグアルディオラのサッカー観の影響を受けていると感じた部分だったし、実際このシステムはこの試合ではよく嵌っていた。
結局この試合はドルトムントがビルドアップからゲームメイクまでほぼ完璧に進めていたため、O.デンベレ、プリシッチ、オーバメヤンがチャンスメイクシーンでどれだけ個の能力を発揮できるかだけが見どころとなってしまった。
レギアワルシャワの攻撃
レギアワルシャワに攻撃時間はほとんどなかった。ゴールキックはほとんど跳ね返されていたし、稀にCFのプリヨビッチがハイボールに競り勝ちゴチャゴチャとプレーするにとどまった。51分に4点目の失点をした時点でこの試合はすでにゲームセットしており、ほとんど自分たちの見せ場を見せることなく終わった。
レギアワルシャワのチャンスメイク
12m30P(5-99-7-19-8offside)Grade4
30m40P(6-9-6-3-7-75-9)Grade4
34m20P(1-3-99-7)Grade4
69mooP(3-7-8-75-6)Grade4
87m10P(8-77-11)Grade5
余談
レギアワルシャワがこの試合では全くいいところがなかったのでこの試合はドルトムントに焦点を絞るしかないくらい内容がなかった。特にレギアワルシャワのCBのチェルヴィンスキとドンブロフスキは出場32チームの中でもかなりひどい部類に入ると思う。