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UCL16/17-E5-CSKAモスクワ.vs.レヴァークーゼン

UCL16-17-E5-CSKAmoscow.vs.Leverkusen

まずはスタメンから
赤がCSKAモスクワ、白がレヴァークーゼン(Fig.1)

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Fig.1 CSKAモスクワvsレヴァークーゼン

 

CSKAモスクワはお馴染みの4-2-3-1

ザゴエフの復帰はCSKAにとってとても重要なことだろう。ただし2連勝しなければならないため現状とてもきつい状態。そんな状態にもかかわらずストランドベリやL.トラオレではなく18歳のチャロフがスタメンに起用されていることは割と興味深いところ。

 

レヴァークーゼンは4-4-2

この試合ではボール保持攻撃の精度を考慮してか、カンプルはCHとなっている。一方でSBの層が比較的薄いレヴァークーゼンはこの試合クロアチアの若手のイェドバイをRSBで起用している。

 

試合の概要

試合は1-1で引き分けで終える。15分にレヴァークーゼンはトリッキーなFKでフォラントが抜け出し、そのまま沈めて先制する。しかし7n分にはエリア内でM.フェルナンデスをヘンリヒスが倒してしまい、これをナチョが決めて同点とする。試合の前半はレヴァークーゼン寄りだったが、得点後特に後半は相手にボールを持たせすぎてしまいうまくコントロールできていなかった。内容を鑑みても引き分けは妥当という感じだった。

 

CSKAモスクワの守備、レヴァークーゼンのビルドアップ
レヴァークーゼンはこの試合カンプルをCHに置いており、前述のとおりボール保持攻撃の精度向上が目的であると考えられる。実際にこの試合のレヴァークーゼンのビルドアップは、グループリーグ序盤で行っていたカンプルのLSB化がよく確認された(Fig.2)

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Fig.2 レヴァークーゼンのビルドアップ

レヴァークーゼンのビルドアップの約束事は以下の通り

・カンプルがLSBに落ちるのと連動して、ヘンリヒスがオーバーラップ

・チャルハノール、J.ブラントはISHのようなエリアでボールを受けようとする

再三言っているように4-4-2ディフェンスではSBにあまりプレッシャーをかけることができないため、ビルドアップの中心をSBに据えるというやり方は欧州で微妙に流行ってきている。

 

こういったレヴァークーゼンのビルドアップに対して、CSKAモスクワの対応も1節時に対戦した時より確実によくなっていた。CSKAモスクワの守備は4-4-2、ゴロビンとチャロフが1列目を担当する(Fig.3)

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Fig.3 CSKAモスクワのビルドアップ制限

基本はオーソドックスな4-4-2だが、2列目は高い位置を維持せず、1列目がレヴァークーゼンのビルドアップの方向を制限するのみにとどまる。例えば前述したカンプルがLSBに落ちた時、1列目が積極的にプレスすることで前線への配給を防ぐことは1列目にとってこの試合かなり重要なタスクととされていたようだった。(1節時はあまりみられなかった)もちろん、1列目の1人がLSB化したカンプルをマークするということはターやトプラクがビルドアップしやすくなるため、CSKAモスクワは時間をかけられながらもハーフラインまでじわじわ押し込められることが多かった。

 

CSKAモスクワの中盤守備、レヴァークーゼンのゲームメイク
前述のように前線から積極的な守備をしたわけではなかったCSKAモスクワは、ハーフライン付近で守備をすることが多かった。ハーフラインまで押し込められたときは4-4-1で、チャロフがデスコルガードとなる一般的なものだった。(Fig.4)

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Fig.4 CSKAモスクワの撤退守備

3節のCSKAモスクワvsモナコでも述べたように、ゴロビンはレヴァークーゼンの供給係を潰すのにかなりエネルギーを費やしていたため、レヴァークーゼンはあまりうまくゲームメイクできていなかった。

 

CSKAモスクワの攻撃、レヴァークーゼンの守備

一方で、レヴァークーゼンの守備に関してはいつも通りハイプレスを志向していく。(Fig.5)

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Fig.5 レヴァークーゼンのハイプレス
前半序盤、特に先制点を決めるまではハイプレスをしっかり行い、ボール奪取→カウンターという形を作ろうとしていた。しかしフォラントが先制点をあげ、前半の終盤付近になるとレヴァークーゼンはあまりハイプレスを行わないようになる。(Fig.6)

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Fig.6 得点後のレヴァークーゼンのアクション

もちろんFig.6のような状況がすべてというわけではなく偶にハイプレスをすることもあったが、守備のペースを緩めることで試合のリズムを変化させようとしていた。

 

これは1節でも経験していたように、フルパワーでハイプレスを続けることが却って失点リスクにつながることもあると考えたためだろう。実際レヴァークーゼンのボールポゼッションを見ると、前半は52%、終盤は40%でありCSKAモスクワが後半特にボールを保持していたことがうかがえる。しかし実際にはレヴァークーゼンがハイプレスをやめたことで徐々にCSKAモスクワが試合のペースをつかむことになる。

 

CSKAモスクワが試合のペースをつかんでいった理由

理由は以下の4個あると考えられる。

レヴァークーゼンがハイプレスをやめたことでCSKAモスクワは余裕のあるロングフィードを繰り返すことができるようになる。

ロングフィードを悉くマイボールもしくはセカンドボールで奪取していたCSKAモスクワ
レヴァークーゼンゴールキックでほとんどロングボールを蹴っており、悉く奪取されていた。(Fig.7)

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Fig.7 レノのゴールキック

・前述のようにレヴァークーゼンCSKAモスクワの撤退守備を攻略することができなくなっていた。

こんな理由からか徐々にCSKAモスクワのペースになっていくわけだが、守備から攻撃にかけてCSKAモスクワのほうが試合を通して優れていたということだろう。

 

CSKAモスクワレヴァークーゼンのチャンスメイク

CSKAモスクワのチャンス

03m40T(63-17)Grade5

05m10P(42-10-42-63)Grade4

10m00T(17)Grade5

10m40CK-T(8-63)Grade4

28m50P(42-10-3-66-2-8-2-10)Grade5

34m30P(2-8-2)Grade4

 

50m40T(17-8-63-66-63)Grade4

50m50P(17)Grade4

64m40P(7-63)Grade4

68m10CK-P(10-24-8-17)Grade5

73m20P(6-17-2-63-3)Grade5

73m40P(2-66-10-8-2Penalty)Grade4

75m00PK(66)Goal

77m00P(66-3-63-10)Grade5

77m50T(2-3-63)Grade4

79m40P(66-8-2-66-10)Grade5

84m00P(66-2-8-66M)Grade4

86m10P(24-9-63-66-2-63)Grade5

 

前半はレヴァークーゼンがボールを持つ展開が多かったため、チャロフを中心としたロングカウンターが大きな武器となった。正直L.トラオレやストランドベリよりも若く、スピードもテクニックもあるチャロフは今後CSKAモスクワを支えていくことになるかもしれない。この試合では今後の活躍が楽しみになるような活躍だった。

 

レヴァークーゼンのチャンス

00m00P(19-16-19)Grade4

05m50P(24-44-31)Grade4

06m40P(39-10-44-19-10)Grade4

15m00FK-P(10-44-31)Goal

17m40P(1-7)Grade5

27m00P(39-19-39)Grade4

37m20CK-P(10-7offside)Grade5

45m20P(44-19-20-10)Grade4

46m30FK-P(31-10)Grade4

 

62m40FK-P(10M)Grade4

79m20P(29-31)Grade5

レヴァークーゼンは未だ守備のバランスを見つけることができていないということが露呈した試合となってしまった。ハイプレスを90分間続けることはとても難しく、かといって撤退守備の強度もあまりなく、CSKAモスクワのボール保持攻撃にも対応できていなかった。

 

撤退守備の強度が足りなかった理由は、SHが守備時にあまり下がらないことが大きいと思う。やっぱりJ.ブラントもチャルハノールも撤退守備でさぼることが多く、CSKAモスクワのボール保持攻撃を防ぐことができなくなった。特にクロアチアの新星イェドバイのこの試合の出来は最悪で、クロスは通らない、ドリブルは相手に引っ掛ける、エアバトルは勝てないという内容だった。こういった個人のミスとレヴァークーゼン全体が抱える問題が合わさって後半の見所はほぼなかったといっていい。

 

余談

結果的に言えばレヴァークーゼンは引き分けで勝ち点7、トッテナムは敗北して勝ち点4となった。レヴァークーゼントッテナムに勝ち越しているため、5節終了時点で4チームの順位は決定した。さらに6節ではモナコが手を抜きすぎていたためレビューする価値がないのでスキップ。