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サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-Round.of.8-FRA.vs.ICL

EURO2016 EURO2016-Round.of.8

EURO2016 Round.of.8-フランスvsアイスランド

まずはスタメンから


青がフランス、白がアイスランド(Fig.1)

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フランスはメンバーを変更しつつ、アイルランド戦で発見したグリーズマンを自由にした4-4-2(4-2-3-1)。

ラミが累積警告のためウムティティが登場。コシルニーはいままで左CBだったが、ウムティティが左CB、コシルニーが右CBに。カンテも累積警告だが、おそらくカンテが出場できたとしてもマテュイディ、ポグバをセントラルに置く布陣を採用したと思う。またサイドにはシソッコが登場。試合時間はレギュラー陣と比べると少ないが、出場した試合では持ち前のパワフルさが発揮されており徐々に序列が上がっている。

 

アイスランドは5戦連続でスタメンを統一の4-4-2。

ここまでこれたことが奇跡とはいえ、さすがに疲労が蓄積してくる段階。どう乗り切るのかは監督の手腕でもあり選手のモチベーションに大きく左右されそう。

 

試合の概要

試合はフランスが5-2で勝利する。11分にマテュイディのロングボールに抜け出したジルーが決めてフランスが先制する。その後コーナーキックからポグバのヘッド、パイェのミドルシュートグリーズマンの裏抜けからの1on1を決めて前半のうちに4点差とする。後半は55分にG.シグルドソンのクロスをシグトルソンが押し込み1点返す。その直後の58分にはパイェのFKからジルーがヘッドを決めて再び4点差とする。試合終盤にはスクラソンのクロスをビャルナソンが合わせて最終スコアは5-2となった。前半はアイスランドの守備の強度も落ちていたが、それ以上にフランスがスペースがない中でもボールを効率よく前に進ませていた。特にグリーズマンシソッコ、パイェ、ジルーは受け手として、マテュイディ、ポグバは出し手として完全に機能していた。アイスランドもチャンスの質は高かったがそれがゴールに結びつかなかった。

 

 

1. アイスランドの攻撃、フランスの前線の守備

 

アイスランドのボールの進ませ方はシンプルである。

スローインの場合はロングスローを、

オープンプレーではロングボールをボドバルソンに当てること

ボールを前進させようとする。

 

ただしこの試合に限っては、ゴールキック時にグンナーソンがさがることで、ハルドーソンがロングボールを蹴ることはほとんどなかった。(Fig.2)

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Fig.2 ハルドーソンのゴールキック

 

アイスランドゴールキック

この試合ハルドーソンがロングボールを蹴らなかった理由は2つある。

前提条件としてハルドーソンのロングボールの質はかなりひどい。

なのでできればアルナソンやR.シグルドソンにロングボールを蹴ってもらう方がロングボールの成功確率は高い。

 

イングランドやオーストリア戦のようにゴールキック時に相手が前線に選手を複数残すようであれば、ハルドーソンはロングボールを蹴る。

 

ただしフランスはそういった前線からのプレスはしなかったので、ゴールキックをスタートとしてもボール保持攻撃と同じように最終ラインがボールを回すことが多くなる。

 

アイスランドのビルドアップ、ゲームメイク


フランスの守備は4-4-2。

グリーズマンとジルーを1列目としている。さらに2列目は右からシソッコ、ポグバ、マテュイディ、パイェとなるが、ほかの強豪国に比べて中盤のフィジカルはとても強い。

対してアイスランドのビルドアップはグンナーソンを下げた3-3-2-2(Fig.3)

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Fig.3 アイスランドのビルドアップ

 

フランスは4-4-2なので、2トップの脇をどう守るか、またはそのスペースは相手に明け渡すのかという話になる。

 

Fig.3の場合にはシソッコが白のスペースを埋めることが多いが、それとともに2トップもスライドする。

ポグバとマテュイディは、ビャルナソンやグドムンドソンとのエアバトルに備える

逆サイドでもそれは同様であり、サイドバックがボールをもったらパイェが監視、2センターはフィジカルを生かしたエアバトルに備える。

 

一方のアイスランドがボールを前に進めたがる理由は、少々の時間稼ぎとロングボールの精度を上げたいためなので、基本的にハーフライン手前からはどんどんロングボールを放り込んでくる。

 

ただし競り合う相手はポグバ、マテュイディコシールニー、ウムティティ、サニャ、エヴラの6人vsグドムンドソン、ビャルナソン、ボドバルソン、シグトルソンの4人。量も負けているが正直質もフランスの選手のほうが良かった。

 

そんな感じでアイスランドはボールをハーフスペース手前までは進めることができるものの、その後のロングボール攻撃はあまり機能していなかった。

 

アイスランドのチャンスメイク

前述のようにうまくロングボールを前に運ぶことができていなかったアイスランドだが、前半においては9~10回はロングボールをつなぐことに成功していた。(攻撃チャンスは35回なので成功率は約25~30%)

 

このうち4回はオープンプレーのままつながったが、可能性の低いミドルシュートを撃つのが精一杯という感じで得点の気配はほとんどなかった

 

逆に言えば残りの5回はセットピースによるもので2回はフリーキック、3回はスローインからのスタートとなる。

 

フリーキックの場合

フリーキックのキッカーはいずれもG.シグルドソンだったが、15m10のシーンでは完全にミスキックでチャンスを棒に振ってしまい、40m50nのシーンはいい形でボールを救急できたが誰も合わせられなかった。

 

ロングスローの場合 

ただしアイスランドの最も得意としているチャンスメイクはグンナーソンからのロングスローなのでここもしっかりとみていかなければならない。

最大のチャンスは29m00のグンナーソンのロングスローをボドバルソンがフリックし、シグトルソンがフリーで合わせたシーンだったが、これは惜しくも枠外だった。

 

イングランド戦でもオーストリア戦でも決めているこの形はアイスランドの最大の武器であることを再び示したが、のこり2つはうまくチャンスにはならなかった。特に30m40のロングスローのシーンでは明らかにボールが滑ってしまっており、目的の方向にボールが飛んでいなかった。

前半雨が降っていたせいでボールをしっかり握れなかったのも原因かもしれない。

 

結論を言うと、確かにアイスランドのロングボール攻撃の一部はフランスのフィジカルによって制限されてしまっていたが、ロングスローからの決定的なチャンスやFKからの惜しいシーンは作れていた。

 

今までの試合と違うのはそれを決めるか決めないかだけであり、フランス相手にも決定的なチャンスを作れることを示していた。

 

2. フランスの攻撃、アイスランドの守備

アイスランドがハーフラインより手前からロングボールを供給してくることもあってカウンターに移行できるタイミングは少なかったが、しっかりと中盤と最終ラインの強靭なフィジカルでボールを回収することで、余裕をもってボール保持攻撃に移行することができた。

 

フランスのゴールキック

ロリスは決して足元がうまいGKでは今でもない。

トッテナムに入団した直後と比べると改善されてはいるが、足元がうまいGKに比べれば精度や判断力は劣る部分が多い。

 

そんなこともあってかアイスランドはフランスのゴールキック時に1列目の2人を前線に残した状態にする。(Fig4)

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Fig.4 ロリスのゴールキック

 

アイスランドはビャルナソンやグドムンドソンまでをハイプレスに参加させることはないため、Fig.4のようにエヴラ、サニャはフリーになる。

ここでロリスは彼らにミドルパスを出してしまうかジルーに向けてロングボールを蹴ってしまうかの2択となる。

 

ロリスは偶にロングボールを蹴ることもあったが、大部分をフリーのサイドバックにつなぐことができていた。このためゴールキックからでもほぼ問題なくボールをつなぐことができていたフランスだった。

 

フランスのビルドアップ

一旦ボール保持攻撃が始まると、アイスランドの1列目はいつものポジションに戻る。すなわちハーフライン付近でのコンパクトな4-4-2となる。

そのためハーフラインまでフランスは問題なくボールを運ぶことができていた

 

フランスのゲームメイク

ここからが問題

アイスランドの守備は大きく分けて2つある。

1. 1列目をハーフライン付近に置きつつ最終ラインも35m付近にオフサイドラインを設定することで、コンパクトな4-4-2を形成し相手のゲームメイク妨害を行う。

 

2. 少し攻め込まれてしまった場合、すなわち自陣低い位置で4-4-1または4-4-2のようになり自陣でバスを停める方法。

 

基本的にアイスランドとしては1つめの守備でボールを奪取したい。ぜならハーフライン付近でボールを奪取できればよりシンプルなカウンターやロングボールにつなげることができるから。

 

しかし1つめの守備は、

最終ラインが高いラインを保つ必要があること、中盤、前線がうまく連動して運動量が高い状態を保つ必要があるため、今までのアイスランドは試合が進めば進むほどディフェンスラインが徐々に下がって行く傾向にあった。

 

いままでアイスランドと戦ってきたチーム、ポルトガルハンガリー、オーストリア、イングランドはすべからくゲームメイクにおいて出し手に問題点があり、出し手を増やすといった手法をとっていた。

 

具体的に

ポルトガルではR.カルバーリョダニーロができないかわりにモウチーニョが下がり、

ハンガリーはナジュがCB間に落ちてきたし、

オーストリアは3バックで試合をスタートし、

イングランドはCBがボールを運べないため、ダイアー、ルーニーが下がってきた。

この4試合の中で最もうまくいっていたオーストリアを除けばいずれのチームもかなり1つめの守備に苦労していた。

 

しかしアイスランドの1つめの守備に対してフランスは真正面から突破しようとする。

すなわち2センターのいずれかを最終ラインに落とす方法ではなく、ウムティティ、コシルニー、ポグバ、マテュイディの4人が四角形をつくることで、シグトルソンとボドバルソンを囲む。そしてフランスはゲームメイク時点でサイドバックを結構高い位置まであげてしまう。

誤解を恐れずにいえばこの時のフォーメーションは2-2-5-1となる。(Fig.5)

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Fig.5 フランスのゲームメイク

 

このゲームメイクは単純にCBの配給能力に依存するが、一旦うまくいき始めるとアイスランドには問題しか起こらなくなる。

 

アイスランドの問題

まずエヴラ、パイェ、シソッコ、サニャというようにサイドプレーヤーが高い位置に上がっているため、ビャルナソンやグドムンドソンは本来今までの試合でカバーしていた青のスペースをフランスに渡してしまう

 

また中央のグリーズマンは頻繁にライン間に下がってくる。

グンナーソンとG.シグルドソンフリーで受けたポグバ、マテュイディを監視しつつライン間にいるシソッコグリーズマン、パイェへのパスコースも防がなくてはいけない。

 

当然すべてをこなすことは無理なので、コンパクトだった4-4-2は4-4のブロックと高い1列目となるシーンが増えた。

 

そしてフリーでボールを動かすことができるポグバ、マテュイディは正確なパスを前線に供給することができる

また、受け手のグリーズマンシソッコ、パイェはワンタッチでうまくボールを進めつつ速さを伴った攻撃を可能にしていた。

 

簡単に言えばフランスの選手の質は高かった。

という話だが、アイスランドも今までの試合だったら通していなかったようなパスを守れてなかったりしていたので、アイスランドの疲労も相当たまっていたのだと思う

 

フランスは11分にマテュイディのロングパスからジルーが裏抜けしてそのままハルドーソンの股を抜き先制する。まさにFig.5の逆で起きたことだが、ジルーの裏抜けについていけないアルナソンと全くカバーしなかったR.シグルドソンはかなり簡単にフランスに得点を与えてしまった。

 

フランスのチャンスメイク

また18分にはグリーズマンのCKから打点の高いポグバのヘディングで2点差とする。

アイスランドはCKのときゾーンDFで守るが、ここでも集中力を欠いていた。

助走してきたポグバ、エヴラ、コシルニーがなんの障害もなく中央のエリアに飛び込めてしまっていたので、なにかおきてもおかしくないという感じだった。

 

42分には、サニャのクロスを拾ったパイェがエリア外からミドルシュートを右隅に決めて3点差とした。

コースは完璧だったが、流れながらのシュートで威力はそれほどでもなかったのでハルドーソンは止めるべきだったかもしれないが触れなかった。

 

そして直後の44分にはポグバのスルーパスグリーズマンがアルナソンの裏を簡単に突破し4点差とした。

 

フランスのチャンス

5m30P(18-8M)

11m50P(14-9)Goal

18m50CK(7-15)Goal

42m00P(7-8M)Goal

44m00P(15-7)Goal

 

フランスのチャンスの質は高かったが、よくよく失点シーンを見れば解決できた場面も多かったと思う。悪くても2点差、もし完璧に集中していれば1点差で折り返せたかもしれないが4点差になったことでほぼ勝負は決する。

 

3. 後半に向けた変更

アイスランドは怒りの2枚替え。

アルナソン⇔インガソン、ボドバルソン⇔フィンボガソン

失点シーンに大きく関与したアルナソンは懲罰交代だと思っているが、

ボドバルソンの交代は守備の運動量が足りなかったからだろうか。よくわからない

 

 

アイスランドの守備の変更点

アイスランドは前半高い位置での4-4-2と低い位置での4-4-2を使い分けていたが、

後半は高い4-4-2と中程度の位置での4-1-4-1を使い分けるようになる。(Fig.6)

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Fig.6 アイスランドの撤退守備(後半)

 

シグトルソンを2列目の真ん中に落とし、グンナーソンをグリーズマンが監視するような形にする。

前半は白のスペースをフランスに蹂躙されていたが、このエリアをグンナーソン+2列目の4人で守ることで自分たちのエリアとする。

 

そのかわり前半アイスランドがものにしようとしていたハーフライン付近のエリアは、完全にフランスのエリアとなってしまう。

 

フランスは前半終了時点で4点差としてるのであまり無理な攻撃はしかけてこなかったので正確な指標にはならないが、後半のアイスランドの守備にかなり手を焼いていた。

 

ただしこの守備にも少し問題があって、シグトルソンがフォワードとして攻撃参加した後のフランスの攻撃などそもそもこの形になれないこともある

また攻撃、守備の両面でシグトルソンに負担がかかりすぎるというのも問題だろう。

 

 

4. 後半のチャンスメイク

後半になるとフランスもさすがに守備に運動量がなくなる

(スタミナ的問題よりも点差的問題が大きい)

 

当然アイスランドはロングボールを使わなくてもハーフライン付近までは簡単にすすめる。相変わらずオープンプレーから危険なチャンスを作ることはなかったが、セットピースを絡めたチャンスメイクならば今大会1番といってもいい。

 

55分にはグンナーソンからのロングスローが弾かれ、こぼれ球を拾ったG.シグルドソンの完璧なクロスをシグトルソンがしっかりと決めて1点返す。

 

しかしフランスは58分にパイェからのFKをジルーが合わせ5点目とする。再び4点差。

 

その後アイスランドコーナーキックとロングスローから大チャンスを1つずつ作るが1つは枠外、1つはロリスのビッグセーブで追加点には至らなかった。

82分にはスクラソンのクロスをビャルナソンがうまく当てて2点目を決めるが時すでに遅しといった感じで試合は終了する。

 

アイスランドのチャンス

55m20P(10-9)Goal

60m40TI(17-15-11)

62m30CK(7-5)

83m00P(23-8)Goal

 

フランスのチャンス

58m10FK(8-9)Goal

84m40P(7-20)

85m50P(7-18)

91m30P(18-10-7)

 

フランスは63m20にエヴラのエリア内でのハンドを見逃してもらえたり、アイスランドの決定的なチャンスで枠外にはずすことが多かったので結構この試合では運が良かったとは思う。

 

試合後のアイスランドのラーベルベック共同監督のコメント

「フランスにおめでとうと言いたい。彼らはファンタスティックなチームで、我々はひどいチームに見えた。それは自分たち自身のせいでもあるがね。この4年半は、私にとって素晴らしい冒険だった。ここに来てくれたファンやアイスランドにいるファンの応援を受けて数々の好結果を残し、多くの関心を集められたことに深く感じ入っている。私はすべての時間を楽しむことができた。今日の最初の45分以外はね

メンタル面はうまく対処できなかったが、フィジカルの問題ではなかったことを後半に示した。学ばなければならない試合というものがあるが、この試合はその1つだ。一瞬たりとも気は抜けないという、いい教訓になった。大会全体を振り返ると、初出場でありながらベスト8に入れたのは紛れもない快挙だったと思う。我々は頭を使ってプレーできていなかったが、それはフランスが非常にいい戦いをしていたせいもあるかもしれない。我々はいくつかミスをしてしまい、消極的になりすぎた。

 

やはり前半に関してはメンタルの問題ととらえているようで、イングランド戦の勝利で緊張の糸が切れていたのかもしれない。

 

 

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緑がビルドアップ失敗黄がビルドアップ成功

青がゲームメイク成功ピンクがゲームメイク成功

オレンジがチャンスメイク成功紫がチャンスメイク失敗

となっている。

コメントはどうやってボールを前に進めたor失敗したかを表す。

○はいいプレーをした選手につけている。

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