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サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-B2-RUS.vs.SVK

EURO2016-グループB2-ロシアvsスロバキア

まずはスタメンから

 

赤がロシア、白がスロバキア(Fig.1)

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Fig.1 ロシアvsスロバキア

 

グループで3位以上で通過するためには勝ち点4が安全圏であるため、両者にとってこの試合での勝利はほぼ必須条件である。

 

ロシアはイングランド戦と同じメンバー。イングランド戦と同じように単純なパワープレーで勝負を仕掛けてくるのか?という部分が見どころかもしれない。

 

対するスロバキアウェールズ戦の前半と同じ4-1-4-1という部分は変わらない。しかし中盤の守備の要をやっていたフロショフスキーにかえてペチョフスキー、左SBのスヴェントをフボチャンに、1トップのデュリスをデュダに変更。変更の意図は不明。

 

試合の概要

試合は1-2でスロバキア勝利。ヴァイスとハムシクが1点ずつきめたスロバキア、相変わらずチャンスメイク全てにハムシクが関わっていた。ただし試合全体を見ればロシアが押していて、チャンスの数もロシアのほうが多い。後半グルシャコフが1点を返すが、同点には至らず1-2で試合を終える。見どころはハムシクの個の能力とロシアのビルドアップだろう。

 

 

1. スロバキアの守備

スロバキアウェールズ戦と同じく4-1-4-1で挑む。

本来クツカとハムシクノイシュテッターとゴロウィンにプレスすることで、ショートカウンターを誘発しようという狙いがあったのだろう。(Fig.2)

 

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Fig.2 スロバキアの予想の守備位置

 

この守備では最終ラインの4人+センターハーフの2人に対して5人でプレスをかけているため、スロバキアの前線5人と5人の守備陣が乖離してしまいやすい。

 

ここをいかにコンパクトにできるかはマク、クツカ、ハムシク、ヴァイスのバランス感覚に依存してしまう傾向にある。

 

しかしウェールズ戦でも露呈したようにこの4人は守備におけるバランスを考えるタイプではない。あくまで「攻撃のための守備」というのがスロバキアの守備のコンセプト

 

実際に相手陣内でボールを奪取することが2回ほどあったが、それ以上にプレスをすることで生まれてしまったスペースを、ロシアにうまく使われるシーンのほうが目立った。

2. ロシアの攻撃

 

スロバキア側がどこまでロシアのビルドアップ情報を収集していたかは全く分からないが、少なくともロシアのビルドアップはイングランド戦よりも攻撃的になっていた。(Fig.3)

 

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Fig.3 ロシアのビルドアップ

 

ロシアはサイドバックをほぼ常にオーバーラップさせる。もちろんサイドバックが本来のポジションにいないということは、ゴロウィンとノイシュテッターがプレスを受けた時の逃げ場がなくなるということでもあるので、前述のようにスロバキアのプレスからショートカウンターに発展してしまうシーンもあった。

 

ただしメリットも大きい。ハイプレスとはいっても、スロバキアのヴァイスやマクはドゥダと同じラインまで上がって守備することはないため、ロシアの両CBがサイドに大きく開くことでサイドからゲームメイクを可能にした。

 

サイドバックが元からゲームメイクすればいいのでは?という気もするが、

このポジションでゲームメイクをするためにはロングボールに長けている選手が適切なので、少なくともロシアではCBが開かざるを得ない。

 

スロバキアの大きなミスのひとつに、ヴァイスの守備能力というのがあった。オーバーラップしてきたスモルニコフに対して、ヴァイスは自分のポジションを修正することは前半ほとんどなかった。(Fig.4)

 

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Fig.4 スロバキアの理想的な守備位置

 Fig.3のようにヴァイスはスモルニコフのマークをルーズにしてしまったが、Fig.4のようになることができれば、縦パスやロングボールに対しても十分な対策ができた可能性が高い。本来サイドハーフの選手(マク、ヴァイス)がインサイドハーフのポジションで完璧なプレーができるかは定かではないので、あくまで机上の空論だが。。

 

いずれにしてもロシアのビルドアップに関与する4人はうまく前線にボールを供給していたし、ジュバのエアバトルを中心としてロシアの前線もうまく機能していた。

 

前半戦はロシアに1点入る匂いが確かにあった。

ロシアのチャンス

17m40(22-17-10)20m00(22PK?)22m30(3-22)27m10(22-10)

 

3. ロシアの守備、スロバキアの攻撃

スロバキアボールを保持しようとした時の意図はよくわからなかった。スロバキア全体がボールをつなぐようなプレーをしたと思ったらGKがロングボールをかっ飛ばしてしまうこともあるし、そもそもCBはビルドアップが得意な感じではない。さらにウェールズ戦では頻繁にビルドアップをサポートしていたハムシクもチャンスメイクに専念するためか、あまりポジションをさげることもなかった。

 

ロシアの前線からの守備は、ジュバがCB間のパスを限定させて、サイドでプレス強度を強めてロングボールを誘発するという単純なシステムだったが、十分に機能していたと思う。

 

4. マレクハムシクの存在

 

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Fig.5 ハムシク

攻撃面でも守備面でも戦術というフィルターを通せば、間違いなくロシアのほうが理に適っているプレーがとても多かった。

 

 

しかし前半にスロバキアは2得点をあげる。

 

スロバキアがチャンスメイクするときはボールポゼッションがあいまいな時、すなわちセカンドボールなどのトランジションが起きそうな場面に限定されていた。

 

そのチャンスメイクの中心にいる選手はいつもハムシクだった。それはウェールズ戦でも、ロシア戦でも変わらなった。そしてチャンスのクオリティもかなり高い。

 

正直グループリーグを見渡しても、チャンスメイクの質と量を考えればハムシクがもっともすごかったといってもいい。それぐらいハムシクの個の力は試合に影響を与えていた。ただし理不尽なゴールというわけではなく、あくまでロシアの個人的なミスから生まれた失点だということは忘れてはいけない。

 

 

動画は11/22の夜投稿予定

9m10(8-17)31m30(17-7)41m30(17)44m30(17)

11m00(17-19)

 

動画のように前半にチャンス未遂を1つ、チャンスを4つ(そのうちアシストとゴールを一つずつ含む)作る。驚異的だった。ロシアも必ずジュバを経由していたが、あくまでポストとしての役割で絡んでいることが多かったので比較は難しい。

 

前半はハムシク劇場で結果と内容が逆転した。サッカーは偶にこういうことがあるから読めなくて面白い。

 

5. 後半戦に向けた変更点

ロシアはノイシュテッターとゴロウィンをグルシャコフとママエフに変更する。センターハーフ2枚替えの真意は不明。

 

スロバキアは守備の約束事を少し増やす。前半中途半端にポジショニングしていたサイドハーフ裏のスペースからチャンスを作られていたため、オーバーラップしてきたロシアのSBに対してヴァイスはマンマーク気味に守るようになる。

 

またサイドのスペースからビルドアップしてくるロシアのCBに対応するために4-4-2(変則4-3-3)に変更する。トップは基本的にはハムシクとデュダが担当する。(Fig.6)

 

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Fig.6 後半のスロバキアのDF

 

4-4-2に変更することで中央からバンバン縦パスを入れられることは後半ほぼなかったが、やはり2トップの両脇のスペースを埋めるのは簡単ではない。

 

ペチョフスキーとクツカ(稀にヴァイス、マク)がスペースを埋めようとするが、間に合った時と間に合わなかったときの比は7:3程度だった。前半よりはスロバキアも守れているが、依然としてチャンスの匂いを残しているロシアという感じだった。

 

80分にグルシャコフが1点返すが、それ以上の変化は生まれなかった。

 

 

余談

スルツキ監督はあまりいい噂は聞かないが、この試合のアプローチだけは誓っても間違っていなかった。ちなみにロシアはウェールズ戦で勝てば3位以上で突破が確定するので、まだ絶望する時間ではない。

 

スロバキアは現状勝ち点3、得失点差0という状態。したがってイングランド戦で引き分け以上で突破確定となる。