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サッカーを視る

主にCLやビッグマッチについて。リーグ戦はEPLが中心

EURO2016-A3-SWI.vs.FRA

EURO2016 EURO2016-GroupA

EURO2016-グループA3-スイスvsフランス

まずはスタメンから


赤がスイス、白がフランス(Fig.1)

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Fig.1 スイスvsフランス

 

スイスはセファロビッチをエンボロに替えてきたのみだった。セファロビッチはセンターフォワードとして周りをサポートする動きはできるが、アルバニア戦、ルーマニア戦でチャンスをことごとく外してきた。一方でエンボロは今大会は交代出場にとどまっているが存在感は確かにある。スイスは突破が確定していることもあってもう少しメンバーを変更するとおもったがそんなこともなかった。

 

一方のフランスは大幅に変更してきた。シソッコカバイェ、ジニャクは初スタメン。パイェ、マテュイディはお休み。ポグバ、グリーズマンアルバニア戦では後半から出場したこともあってスタメンに名を連ねている。フランスも2位以上確定しているのでこういった選考は納得できる。

 

試合の概要

この試合は0-0スコアレスドローで終える。開始10分はスイスのハイプレスに苦しんだフランスだったが、徐々に順応していき前半15分以降はフランスがゲームを支配し、フランスのスイス対策(ジャカ対策)は完璧に機能した。

 

 

 

1. 累積出場停止のレギュレーション

スイスはこれまでの2試合でエンボロ、ジャカ、ベーラミ、シャーがイエロー累積1枚、フランスはカンテとジルーがイエロー累積1枚。

 

今大会は準決勝に行ったタイミングで累積イエローが消える。すなわちすべての試合に出場すると、グループリーグ3試合+Round.of.16+Round.of.8の5試合のうちでイエローを1枚しかもらわないようにプレーしなければならない。

 

これは中盤や最終ラインの選手にとって実は結構高いハードルだったりする。大会が続けば続くほど怪我や出場停止者が出てくる可能性は上がっていくので、戦力の見極めはとても重要だといえる。

 

 

 

2. スイスの攻撃

アルバニア戦、ルーマニア戦とスイスのサイドバックはかなり頻繁にオーバーラップを行い、半ばウイングのような振る舞いをみせていたが、この試合では少し違った。

 

もちろんチャンス時はオーバーラップするが、特にリヒトシュタイナーは味方のビルドアップをサポートするために本来のサイドバックの位置でプレーすることが多かった。

 

やはり大きな理由はフランス相手に数的不利なカウンターを仕掛けられたくないということだと思う。リヒトシュタイナーがオーバーラップすることでスイスの攻撃の厚みは増すが、リヒトシュタイナーの裏のスペースはアルバニアルーマニアにもうまく使われていたことは記憶に新しい。

 

ただサイドバックが前線に上がらないということは、スイスの攻撃の厚みは失われてしまう。しかしサッカーで重要なのはバランスだ。失点しなければ負けないのだからメリットとデメリットを相手のチーム状況を考えながら選択しなければならない。こういったスイスの選択は納得できるものだった。

 

次のステージからカウンターが優れたチームと当たる可能性がどんどん高くなることを考えれば、これが今後のスイスの真の姿という認識でいいと思う。

 

サイドバックがオーバーラップしないということは、前線にいるシャキリ、ジュマイリ、メメディ、エンボロの仕事量は相対的に増えていく。ただし前線は1流のトッププレーヤーというわけではないため、スイスはフランスを相手に苦戦する。もしサイドにアザールのようなワールドクラスの選手がスイスから生まれたらトップクラスのチームになるかもしれないが、いまのところそういった選手が生まれる気配はない。

 

 

ボール保持攻撃がうまくいかないときのプランBは大きく分けて二つある。

ひとつは計画されたロングボール、もう一つは守備からのトランジションでカウンターを行うこと。

ひとつめはエアバトルの強さ、ふたつめは守備力、スプリント力と意味合いは違うがフィジカルに左右されがちな戦術である。

 

スイスはこのどちらも満足にこなせるようなチームではない。エンボロはフィジカルお化けの系譜のように見えるがまだまだ当たり負けするし、前線からの守備はこれまでの2試合からハイリスクハイ(?)リターンであることがわかる。

 

3. フランスの守備


スイスの攻撃がうまういかなかった理由はなにもスイスのせいだけではなく、当然フランスの守備がうまくいったというのも大きい。フランスはアルバニアと同様の4-1-4-1で守備を行い、システムも似ている部分があった。(Fig.2)

 

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Fig.2 フランスの守備(4-1-4-1)

スイスのビルドアップはベーラミもしくはジャカがセンターバックの間に入る形。仮にベーラミが下がってジャカがライン間にいるときは、ポグバとシソッコが監視する。一方でシャーとジュルーに対してのマークは少しルーズになってしまうのはある程度仕方がなかった。


ジャカが最終ラインでボールを持とうとするときにはフランスは異なる守備で対応する。(Fig.3)

 

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Fig.3 フランスの守備(4-4-2)

 

基本的にジャカが引いた時にはシソッコマンマーク気味に守り、それにともなってカバイェは列を移動し4-4-2のように変化する。

この守備はジュルーがフリーになってしまうことがよくあるが、ジュルーをフリーにしても実際何も問題なかったし、今までのプレーを見ていてもそれはわかりきっていた。

 

シャーのロングボールは時折スイスのチャンスになりそうな場面もあったが、スイスはジャカを封じられるとボール保持攻撃のクオリティが極端に落ちるというのはスイスにとって今後解決しなければいけない課題だろう。

 

4. フランスの攻撃、スイスの守備(前半)

フランスの攻撃のトピックも含まれているが、スイスの守備はは4-4-1-14-4-2の形が基本。ジュマイリがカバイェを監視するときは4-4-1-1となりハイプレスするときには4-4-2となる。(Fig.4)

 

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Fig.4 スイスの守備(4-4-1-1)

スイスの守備は今までの2試合に比べればそこまで高い位置からのプレスはしなかった。ただしスイッチが入るとメメディ、ジャカ、ベーラミシャキリがプレスをかける従来通りのスタイル。当然ジュマイリもプレスに参加することがあるので、4-4-2のような位置取りになることも多々ある。

 

基本的には4-4-1-1だが、

 

やはりトップの脇のスペースはフランスが有利なゾーンになりがちだった。

 

フランスの強みはカバイェシソッコ、ポグバがしっかりマンマークされたとしてもコシルニーとラミはドライブしてビルドアップに参加できることだろう。

 

したがってフランスの攻撃はハイプレスを釣ったうえで最終ラインからロングボールを前線を供給するという形が多くみられる。スイスの守備が脆い理由は他にもたくさんあるが、スイスのベーラミのプレスタイミングはかなり危なっかしかったし中央のエリアを相手に提供してしまっていた。

 

個人的にベーラミはあまり好きになれない。確かにアルバニアのカナを退場に追いやったロングパスはベーラミからだったが、基本的にビルドアップにも参加できないし守備が壊滅的にひどい。じゃあほかにいい選手がいるか?と聞かれたらフェルナンデスという選手ぐらいしか代役が思いつかないが、90分で稼働している試合を見たことがないので的外れな意見かもしれない。

 

5. 後半戦の流れ

後半はフランスが押し込む展開が多かったという見方もできるが、スイスのプレス開始ラインが下がったというのが大きい。

 

前半からハイプレスで取りにいこうとするスイスだったがビルドアップの妨害に成功した回数は少なく、逆にチャンスを作られてしまう場面が多かった。

 

そこで後半のスイスはプレス開始ラインを下げることでライン間のスペースを少なくし、得点よりも失点しないことを心掛けているようだった。

当然うまくボールを奪取したとしてもゴールまでの距離は長くなってしまうためスイスのカウンターのチャンスは必然的に減少していった。

 

またフランスはあまり安易な形でスイスボールにさせないため、基本的にスイスはゴールキックやボールポゼッションするところからオフェンスが始まる。

 

前半でも述べたようにフランスのスイス対策は後半も継続されており、とても効果的だった。

 

後程動画UPする

 

スイスはビルドアップができる選手がもう一人いるとだいぶ違うが、そんなこともないので、こういった苦しい試合を決勝トーナメントでも続けなくてはいけなくなる可能性が高い。2位で突破したほかのグループのチームと比べると多分真ん中ぐらいの位置にいるのがスイス。全体でいうと8~10位くらいかな?

 

6. フランスというチームについて

 

6.1. カバイェシソッコの出来

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Fig.5 カバイェ(左)、シソッコ(右)

 

今大会スタメンで初めて出場した2人だが、この試合の出来はかなり良かったと思う。

カバイェは3センターの一角としてカンテとポジションを争うことになるはずだが、この試合でのボール奪取能力はかなり素晴らしかった。ビルドアップで輝けなかったのはジュマイリのマンマークによるところが大きくあまり判断材料にはならない。3センターを今後使うのであれば出番があってもおかしくないと思う。

 

しかしあえて矛盾したことをいうと、シソッコの出来はカバイェとカンテの存在意義をなくしてしまったかもしれない。

 

この試合ではシソッコインサイドハーフとして出場しており、ジャカを潰すというディフェンスにおける重要な役割をほぼ完璧にこなした。

 

しかしシソッコのよさは守備だけではなかった。

 

フランスはフィジカルエリートがそろっているが、なかでもトップクラスのフィジカルお化けはシソッコだろう。シソッコはカウンターの場面でサイドハーフのようなポジションから強烈なドリブルを何度も披露していた。

 

フランスはカウンターが生きる場面では4-3-3のように、ボールを保持して押し込むときには4-2-4(4-4-2)のようになるのが理想的だと個人的に考えている。

 

この2つのシステムを同じ選手でやろうとしたら、インサイドハーフはカウンター時にサイドハーフのようにプレーしなければならない。

 

もしインサイドハーフシソッコを置くことができればこの理想は現実にできる可能性がある。もしこの2つのシステムを選手変更することなく可変できるようになったらフランスはEURO2016だけではなくW杯でもかなりの脅威になること間違いない。

(実際に大会を通して完成する)

 

6.2. パイェとグリーズマンの共存は可能かどうか?

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Fig.6 パイェ(左)、グリーズマン(右)

今大会の注目選手になったパイェ、ここ2,3年で大ブレイクしたグリーズマンはどちらもチームの中心となりえる選手だが、グループリーグで両者の良さを余すことろなく生かすことはできなかった。

 

二人の得意なプレーエリアが似ているのが原因だろう。

 

二人ともサイドをスタートポジションとしながらも最終的にはペナルティアークより内側で決定的なプレーをする。ルーマニア戦ではパイェがものすごく調子が良かったのでパイェに合わせる形でグリーズマンはサイドでプレーをすることが多く、ポテンシャルを出し切ったとはいいづらかった。

 

グリーズマンがサイドでいいプレーをするときは基本カウンター時のみで、ボール保持した時にウイングでプレーするのは苦手そうだ。一方でパイェはサイドでも問題なくプレーできる。

 

こういったことを加味すればグリーズマンに中央のスペースを使わせることがフランスにとって一番効果は高そうだが、パイェが好調を維持してることもまた見逃せない。

 

デジャン監督がこのジレンマを決勝トーナメントで解決できたのか?ということは今大会でもトップクラスに面白いテーマだと思っている。